解決行動の基本的なステップ

問題がある場合、それを解決すべく即座に行動することが肝要です。パワハラはまず、問題を公然化させることです。とくに密室などで陰湿に行われるものは、それを公にすることだけで解決する場合もあります。密室で行われるような陰湿なパワハラは、その加害者は密室の中でしかパワハラができない、表面的には優秀な社員とみられていることも多々あります。そうした優等生がパワハラ加害者であることが公になることは、ある意味で耐えがたいものであるに違いありません。

問題を公然化する

問題は、どのように公然化させるか、その方法です。平穏な解決を目指すためには、解決力のある特定の上司などだけに、事実関係の説明をすることが肝要でしょう。そこで、次の段階として大切になってくるのは、その問題解決能力のある上司に対して、問題の事実関係、そしてその重大さをどう伝えるか、という問題です。ここでのポイントは、あくまでも事実関係のみを具体的、客観的に伝えるにとどめることです。つまり、誰が、いつ、どんな言動をしたのか、というものです。ただ単に、パワハラがあった、とか、誹謗中傷があった、だけでは、感情的に文句を言っているとしか聞こえません。それに加えてパワハラ加害者を忌避するようなことを話せば、おそらく第三者は、これは個人的な感情のもつれか、としか思ってもらえません。余計な形容詞は不要です。

会社に対して解決を求める

パワハラの問題について解決能力があると思われる担当部署、担当者に対して、具体的な事実関係を説明してだけで解決のための何らかの働きかけをしてもらえる場合もあるかもしれませんが、いわゆる「相談」として問題を聞いてもらることに終始してしまうことも往々にしてあります。この「相談」を持ち掛けられた担当者は、あなたの話を聞くことで問題が解決したと解釈しているかもしれません。あるいは説明した事実関係について、問題としての重要性を理解してもらえない、ということもあるでしょう。あなたとしては、会社に何らかの解決のための具体的な行動を起こしてもらわなければならない訳ですから、はっきりと「解決してほしい」「助けてほしい」というメッセージを発信しなければなりません。

実効性のある解決策を求める

事実関係を確認した上で、会社は何らかの解決のための対応をすると思われますが、その対応策、解決策が十分な効果を持たない場合があります。その場合には、すでに対応済みの解決策な根本的な状況の改善になっていないことを指摘したうえで、実効性のある解決策を求める必要があります。会社としてはこれで十分と考えている可能性がありますから、現状での問題点をきちんと指摘して、その問題を解決できるようなさらなる対応策を強くもとめることです。

それでも会社に解決を求める意義はある

とはいうものの、会社が積極的に解決しようとするとは考えられないようなケースでも、まずは会社に対して解決を求めるべきでしょう。それは、そうした申し入れによって問題を解決させることが目的ではありますが、解決プロセスの前提としての重要な意義があります。

社内的な解決ができない場合には、社外の解決制度の活用を図る必要がありますが、その社外の解決制度の俎上に乗せる前提として、社内的な解決ができない状態であるかが重要な要素にもなります。あなたが社外の解決制度を活用するために何らかの窓口に赴き、状況を話すなどの相談を持ち掛けたとしても、もし社内的な解決を図っていない場合には、まずは社内的な解決を図るようアドバイスされることになります。それでもだめなら手助けしますよ、ということなのです。

社内的な解決を図ったが、会社が解決に消極的であるとか、そもそも解決しようとする意思がない、という事実があれば、会社はきちんと対応していない、労働契約上の義務を履行していない、ということになり、より有利に解決に向かって進むことができることになります。