社内的な問題解決に限界を感じたら

2023年10月5日

会社外部の解決制度を活用する場合の大前提とは?

意外と安易に会社外部の解決制度、手軽なところでは、例えば、あっせんなどの労働局の解決制度が代表的かと思いますが、こうした制度を利用をお考えになる向きもあるようですが、こうした会社外部の解決制度を活用するための大前提として、社内的な解決を図ったが、解決しなかった、という客観的な事実関係を説明できることが必要になります。

社内的な解決を求めたが、会社が応じないという事実が必要

つまり、何らかの解決行動を起こしたが、解決しなかった、という具体的な事実があるのか、ということです。この時に、例えば、上司に対してパワハラの解決を相談したけれど、何も変わらなかった、という説明では不十分だということです。

〇月〇日に上司に対して同僚からの嫌がらせの解決を求めたが、上司は何もしないため、その後の対応を確認したが、上司は明言を避けて私に我慢をするよう促したため、仕方なく人事にこれまでの相談の経緯を含めて早急な対応を求めたが、人事の回答は、上司の対応を尊重する、人事としては何ら対応する予定はない、という返答であった、

などと言うものであれば、社内的な解決が行き詰っていると判断してもらえる余地があるかと思います。この場合でも、できれば人事の回答は書面で受け取っておくことが賢明です。なお、ここで「判断してもらえる」と書いたのは、解決制度の実施を判断する労働局の担当部署の判断ということです。

金銭解決を求める場合には、金銭請求をしておく必要がある

また、あっせんの場合には、典型的には金銭解決であるため、その金銭要求をいったん書面で直接会社側に申し入れ、拒否回答があったことをもってあっせん申請という流れになるかと思います。金銭解決交渉が社内的に当事者同士での話し合いが不調に終わったことを示す客観的な裏付けが必要だからです。

【参考コラム】問題解決のための行動に一歩踏みだす前にお読みいただきたいコラム~解決行動を起こす前に考えるべきこと

解決のための手段の選択

社内的な解決のための行動を起こしたにもかかわらず、何の解決の兆しもないような場合、何らかの社外的な解決手段を選択せざるを得ません。ここで大切なこ とは、状況に応じて手段を選択する、ということです。法的な解決手段には様々なものがありますが、今あなたが直面している状況に応じて、最も効果的と思われる解決制度を選択できればと思います。

在職中のパワハラの解決を求める場合には「助言指導」

ここでいうパワハラの解決とは、あなたが上司などからパワハラ行為を受けていることに対して、そうした被害を受けないようにすることですので、例えば、パワハラを繰り返す上司はけしからんから懲戒処分にして欲しい、とか、解雇して欲しい、という要求には応じてもらえないと思います。あくまであなたご自身の救済を求めるものになるからです。そうした意味では、助言指導という、労働局の担当官を通じて、会社にあなたの意向を伝えてもらう制度が、次に活用をお考えになるべきものになるかと思います。

【参考コラム】パワハラ防止法の施行によって、解決制度はどう変わるのか

人事に解決を求めても解決しないという事実が必要

この場合でも、社内的な解決ができなかったことが制度活用の前提になりますので、例えば、人事等に解決を求めても、問題の上司はまもなく定年だから我慢をしろと言われたとか、あるいは、あなたが指摘した事実をパワハラではないと判断したうえで、会社に何ら問題はないなどと上司のパワハラ行為を黙認したため、問題が解決していない、つまり上司はパワハラを以前と変わらず繰り返している、という状況に対して、この「助言指導」の活用ということになります。

離職を前提の金銭解決であれば、まずは「あっせん」を

最近では、ようやく「労働審判」の件数も増え、まず「労働審判」を想起される方も多いと思います。しかしほとんどの労働審判で弁護士が代理人についている 実態を考えれば、ある程度のコストを覚悟する必要があります。もちろんこのコストの点だけで軽々に判断することは避けるべきです。しかし、私が社会保険労 務士だから、ということで言う訳ではありませんが、「あっせん」は、ある意味もっともソフトな外部の解決手段でもあり、費用がかからない点や、個人でも申 請が可能な点で、まずは「あっせん」を考えると良いのではないかと思います。ただし、注意すべきことも当然あります。

「あっせん」は話し合いによる解決の延長線上のものであること

よく言われることで、「あっせん」は強制力がない、という点ですが、確かに労働局の「あっせん」では、申請に対して成立するのはその約半分のようです。こ れは被申請者が「あっせん」に応じる義務がないことが大きな原因です。しかし、このことをもって「あっせん」による解決には効果がないと考えるのは、いさ さか早計です。「あっせん」は話し合いであるからこそ応じるのは任意なのです。つまりそれだけソフトな手段なのです。逆に言えば、「あっせん」が成立し た=相手が応じた場合には、極めて納得性の高い結論に到達する可能性が高い、ということも事実です。それは、くどいようですが、「あっせん」はあくまで も、当事者間の自発的な解決行動を前提にしているからです。このように考えると、「あっせん」の成立が約半分という結論は、半分以上の当事者が話し合いに よる解決を望んでいるともいえるわけで、悲観するようなものではないように感じます。

「あっせん」成立のための働きかけが重要

「あっせん」が話し合いによる解決の促進である以上、話し合いに応じてもらわなければどうにもなりません。労働局などへの「あっせん」の申請は、話し合い による解決の、いわば仲介の申し込みであって、その「あっせん」の場に相手に来てもらう、つまり「あっせん」に応じてもらうためには、応じてもらえるよう 働きかけることも、状況に応じてお考えになる必要があるかと思います。それは、繰り返しになりますが、「あっせん」は話し合いによる解決である、ということは、社内的な解決へのプ ロセスに外部の第三者を交えることと、ほぼイコールだからです。相手側に「あっせん」のメリットを十分に理解してもらい、応じてもらえるよう「説得」する ことが重要なのです。

「あっせん」は当事者間にしこりが残りにくい

「あっせん」による解決プロセスに必要な説得活動は、問題解決志向の働きかけそのものです。これは裁判のように原告、被告の徹底的な攻撃と防御の応酬で決 定的な対立構造の中からどちらがシロか、クロかを裁判官に判断してもらうものとは全く異なります。話し合いに応じてもらえるためには、そして話し合いに よって解決するには、相手方にもメリットが無ければなりません。そんなときに、相手方を攻撃することなど、「あっせん」による解決には、考えられません。 どちらが悪いとか間違っているとか、「犯人探し」をしたところで、何の解決にもならないからです。これからどうするのか、という議論こそ問題解決志向であ り、「あっせん」の真骨頂であると思います。「しこりが残りにくい」というのは、こうした構造的なプロセスそのものによるものでもあります。

「あっせん」での主張はシンプルに

「あっせん」は、たった一回の期日で問題解決を図ろうとするものですから、ポイントを絞ってわかり易く主張をまとめることが大切です。逆に、あまりに複雑 な事案で、事実認定が困難で、その確定に時間がかかるような問題や難解な事件の場合には、訴訟を活用するほかないでしょう。あまりに専門的技術的に高度な 判断が迫られる微妙な事件のような場合には、話し合いによる解決である「あっせん」では対応できません。というよりも、話し合いによる解決自体、まず不可 能でしょう。問題を客観的具体的に捉え、それをシンプルにまとめることができることが必要です。

【参考コラム】あっせんで満足できる結論を導くためには

対応方法はまさにケースバイケースですので、具体的なケースについては、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。あなたの状況への対応方法などについて、簡単にコメントして返信します。

Posted by kappa