うわさ話が漏れ聞こえてきて、しかもその内容が、自分自身を馬鹿にするような内容だった、あるいは誹謗中傷であったり、事実とは異なる非難であったりするような場合、どのように対応するべきでしょうか。
話の内容を直接聞いた場合
例えば、親しい同僚などから、「こういう話を聞いてるんだけど、ホント?」、などと聞かれるケースでは、それが事実でなく、何らかの悪意をもって流されている可能性があると感じられるときには、おそらくはその発信者を特定することは困難かと思います。そうした場合でも、「○○さんが、こんなことを言っていた」という話であれば、その○○さんに事実関係を確認することは重要だろうと思います。とくにその○○さんが、自分の上司であったり、業務上の権限のある管理職だったりする場合には、発言の事実関係とその真意の説明を求めることが先決でしょう。
言動の事実関係が認められる場合
うわさ話の流布に関する事実については疑いようのない事実である場合や、本人が言動の事実を認めているような場合に、その「うわさ」が、事実異なるときには、そのうわさによって失われた損失について補償(慰謝料)をもとめることが可能です。特にセクハラに関わるうわさの流布については、高額な慰謝料請求が認められる傾向もあります。問題の事実関係について、その重大性を理解しない経営者、担当者に対しては法的な判断による結論がどのようなものか、十分に説明をして改善を求めるほかありません。
具体的なうわさの流布の事実をつかむこと
しかし実際には、漏れ聞こえてくるうわさが、どこからどのように巡り巡って自分のところまで届いて来たのか、皆目見当がつかない場合もあります。あるいは、おそらくは特定の個人が自分に対する悪意を持って流しているうわさではないか、という「憶測」を巡らすこともあると思います。しかし「憶測」は、その根拠がないかぎり、あなたの一方的な思いにほかなりません。確かに、限りなく事実に近いものであったとしても、その裏付けが無ければ、「そんなことを言った覚えはない」などと、否定されれば、それ以上の主張は困難です。
だからといって、自分のブログにその「憶測」書き込んだり、SNS上に流すようなことがあれば、あなた自身が逆に不利な立場に立たされる恐れがあります。気持ちは理解できますが、「憶測」だけで何らかの行動を起こすことはご法度です。なお具体的な解決行動については、こちらのページをご覧ください。
うわさによって仕事がしづらくなった…
ありもしない悪意のあるうわさやプライバシーに関するうわさが職場内で公然と語られ、職場の中でいたたまれない立場に追い込まれているとすれば、それは会社の配慮義務違反であり、慰謝料請求の原因ともなり得るものです。
その内容が、例えば性的なものであれば、それはセクハラとして認められることになります。また、メールで職場の全員に意図的に悪意を持って送信されるなども同様です。
うわさの裏付けは難しい…
うわさはうわさであって、それを具体的な言動として指摘できるものであれば問題解決を求めることも可能ですが、通常うわさは漏れ聞こえてくるものであって、それをどう裏付けるのか、はなはだ困難な問題ではあります。噂の具体的な事実を指摘できない場合には、それによって業務上どのような支障が生じているのかを指摘することで、問題解決を求めるほかないかもしれません。
その場合ですが、噂の内容などの事実を特定できない場合、これは例えば、ある集団や仲間内での誹謗中傷にとどまっているものの、その話されている内容について、その漏れ聞こえた内容を伝え聞いた、とか、そのグループの中でそうした噂を聞いてはいるものの、聞くに堪えない、これはおかしい、と感じた一人が、こっそりとあなたにその内容を伝えるようなケースが考えられます。
こうした場合、仮にあなたが事実関係を指摘して問題解決をお求めになったとしても、事実関係の確認の過程で、そのような事実はないという結論になることは、容易に想像ができるところです。ですが、表に出ない仲間内の、あなたに対する誹謗中傷を含めたよからぬうわさが、あなたに漏れ伝わり、そして問題として表面化したことは、そのグループにとっては由々しきことでしょう。もしかするとどこかで録音されたのかもしれない、などと疑心暗鬼に陥らせることができれば、良からぬ噂が出てくることをけん制することができるとも考えられます。
併せて会社側から、今回の聞き取りによって事実関係は確認できなかったが、もしこうしたことがあったとするならば許されないことであり、懲戒処分の対象となることなどを指摘してもらうことができれば、なお効果的かと思います。
録音がある場合
たまたま仕掛けた録音に、あなたに対する不適切な噂を振りまく話の内容が残っていた場合には、これを根拠に説得力をもって事実関係の指摘ができることにはなりますが、公然と録音があることを示すよりも、録音された内容から、問題発言の内容だけそのまま書き起こし、こういう発言があった、と書面で指摘をするほうがスマートでしょう。その書面で、発言の内容が詳細に記載されていた場合、発言者らはどう感じるか…あえて録音があるなどと指摘する必要はなく、噂を振りまく張本人らを疑心暗鬼にさせておく方が、牽制をするという意味では、はるかに効果的ではないでしょうか。
録音がされたのか、録音があるとすれば、誰がどうやって録音をしたのか、この仲間の中に密告者が居るのか、あるいは誰かがばらしたのか…などと疑心暗鬼にさせ、そのグループを混乱させておけばいいのです。
そう考えれば、その噂を拡散する謎のグループを疑心暗鬼にさせるということであれば、録音の有無などはあまり問題にはならないのではないでしょうか。
問題を公然化すること
噂の事実が特定できなかったとしても、その噂によってあなたが苦痛を感じていること、その苦痛から解放して欲しい、という救済をお求めになり、問題解決を図る行動を起こされることで、問題を公然化すること、これが何よりも重要ということになるかと思います。その場合ですが、上記のとおり書面でその噂の指摘をするわけですが、抽象的な言葉を使わずに、断片的でもいいので、噂の内容であろうと思われる発言等を、具体的に記述することが重要になってきます。
具体的な対応方法については、こちらからご相談ください。
【参考コラム】問題解決のための行動に一歩踏みだす前にお読みいただきたいコラム~解決行動を起こす前に考えるべきこと