人事考課

人事考課の結果がパワハラと思われる傾向があるようなケースとは、恣意的に、意図的に、低い評価をするなどの場合が考えられますが、人事考課の結果に不満がある場合には、これはパワハラとして考えるよりも、ダイレクトに、人事考課権限の濫用を主張することが効果的でしょう。そのためには、具体的にどのような不当な評価があったのかを指摘する必要があります。

例えば、これまでさしたるミスや成果の下落があったわけではないのにこれまでの評価と比較して著しく低い評価だったとか、あるいは目標設定時に問題があったなどが考えられるでしょう。もっとも目標設定に問題がある場合には、目標設定時に問題とすることでとトラブルを未然に防ぐことができる余地もあるでしょう。

人事考課を利用した嫌がらせには、考課権限のある上司らの感情的な嫌がらせの場合もありますが、会社がリストラを意図した計画的な人事考課を行う場合もあります。この場合には、事前に研修や目標設定などを行い、その成果が見られないなどとして、予定通りの低評価を行い、退職に追い込むものです。

前者の場合には社内的な解決の余地も大いにありますが、後者のように会社が組織的に行っている場合には、社内的な解決は困難かと思われます。

まずは冷静に状況を見極めること

恣意的な評価の裏にあるものは、説明のできないような何らかの意図が働いていることは間違いないと思われますが、その意図がどのようなものかは、これはその評価を下した考課者の気持ちであり、「真意が何か」が分からなければ、軽々に判断はできません。評価についての説明がなかったからと言って、すぐにこれが嫌がらせであるとか、退職勧奨であると短絡的に考えることはかえって危険です。

納得のできる説明をすることでトラブルは回避できる

リストラが目的の退職勧奨を意図したものではなかったとしても、理屈の通る説明ができない場合もあるでしょう。だからと言ってお茶を濁したり、それどころか部下を威圧するなどした場合には、全くトラブルになるような状況ではないにもかかわらず、感情的な誤解が誤解を呼んで、深刻な状況に至る可能性もあります。

説明がつかないような、恣意的な操作をしたのであれば、なぜそのようなことをしたのか、それをせざるを得なかったのか、を誠意を尽くして説明することが大切ではないかと感じます。もっとも不当な意図を持って恣意的な評価をしたのであれば、もちろん弁解の余地なしです。

評価そのものに問題がある場合

たとえば、客観的な評価基準などが無く、上司の裁量で主観が相当入り込む余地のある場合や、評価基準はあってもその内容が曖昧であったり、あるいは評価する上司がそうした基準に頓着しないような場合で、感情的に評価がなされてしまうようなときには、評価権限の濫用という問題になります。

こうした感情的な評価については、まずは評価を公平にやり直してもらえるよう求めることが、社内的な解決のためには大切かと思います。

評価の根拠となった事実に問題がある場合

評価そのものは、客観的な評価基準に従って適切な判断がなされているとしても、そもそもその根拠となる事実が、会社によって恣意的に作り出されたものである場合には、その事実関係を問題としなければなりません。

営業成績が目標に全く到達しないことを理由に最低の評価がなされた場合に、そもそもその目標設定に問題が無かったのか、という疑問です。目標設定が適切で、成績が振るわなかったのは、本人がサボっていたためであれば、文句のつけようがありませんが、もし、万が一、会社があなたを退職に負いこむ意図をもって、例えば、技術職であるあなたを、もっともらしい理由をつけて営業職に配転させ、言葉巧みに高い目標設定に誘導させたうえで、結果として目標に達しなかった、などとして降格減給の人事が行われたとしたら、あなたはそれを受け入れることができるでしょうか。

そうした対応が数年続いたときには、あなたの我慢は限界に達して、転職をお考えになるのではないでしょうか。これでは、まさに会社の思うつぼです。PIP(performance improvement program)の本来の目的を逸脱し、退職勧奨を目的として使った、あからさまリストラも散見されるところです。むしろ今日では、PIPと言えば、リストラや退職勧奨の手段として認識されるものになってしまっています。

とにかく早い対応を

自分にとって不利益な事実関係が積みあがってしまった場合、相当過去の事実にさかのぼる必要が出てきます。裏付け資料の取得も難しくなることと、会社としても、あなたのリストラが既成事実化していることが考えられます。そうした状況を覆すのは、時間が経てばたつほど難しくなります。おかしい、と感じたときに、いち早く対応することで、社内的な解決に道筋をつけることも不可能ではありません。

会社はなぜはっきり言わないのか

リストラしたい社員がいるのであれば、それを明言した上で、誠意をもって退職勧奨すべきものです。ところが、これを会社はあまりやりたがりません。それは、悪者になりたくない、という感情的な要因もあるかもしれませんが、それよりも重大なことは、もしその対象となった従業員が、退職勧奨に応じなかった場合、それでも離職させるためには、会社には解雇しか方法がありません。

とくに会社都合のリストラである「整理解雇」は極めてハードルが高いため、法的な有効性は容易に認められるものではありません。つまり解雇無効と判断されるリスクが高いということです。そのため、退職勧奨をせずに、対象とする従業員を確実に離職させるために、あえて真綿で首を締めるような、回りくどい方法で離職に追い込んでいくのです。

離職すべきか、留まるべきか…

そこまで嫌がられている会社に、無理にとどまるよりも、心機一転、新たな環境を模索するほうが良いと考える向きもあるでしょう。ただこうした回りくどい方法で離職に追い込むような企業は、たいていはある程度の従業員規模の企業であり、あなたをリストラの対象とする方針も、派閥人事の影響を受ける可能性があります。それ自体あまりいい気分のするものではありませんが、現在の処遇や将来設計を見定めたうえで、判断されたらどうでしょうか。

嫌がらせのリストラに対処する方法

社内にとどまることを前提に考える場合、やはり社内的な解決を目指すための行動を考えるべきでしょう。そこでまずすることは、今の状況がおかしい、問題のあるものであることを、あなた自身がきちんと理解していることを明言することです。たとえば、「嫌がらせのリストラは止めてほしい」と求めることです。あるいは、あえて「パワハラ」という言葉を使っても良いかもしれません。言われた会社側の担当者は間違いなくドキッとします。少なからず後ろめたい気持ちがあるからです。このように、状況に応じて会社側に不当な取扱いの意図をストレートに指摘して牽制し続けることで、ボディーブローのようにじわじわと効果が表れるのではないかと思います。

具体的な状況に応じた対応方法については、こちらからご相談ください