使い走り、たかり…業務とは無関係の要求について

上司や会社からの指示・命令には、従業員は従う必要があります。会社に就職することは、会社との間で労働契約を結ぶことであり、その基本的な内容は、労働者は労働を提供する義務を負い、それに対して会社は賃金を支払う義務を負う、というものです。この労働者が提供する労働とは、会社の指示・命令に基づくものであり、その指示・命令に従わない場合には、労働者は労働契約上の義務の不履行になり、ペナルティーを負うことになります。

従業員は上司などからの業務上の指示に従う義務はあるとは言うものの、その指示・命令がいかなる内容のものであっても従う義務があるわけではありません。例えば、それが法に反する行為につながるものであったり、あるいは業務上の指示・命令ではあっても、その遂行が明らかに困難である場合、しかも困難であることを分かったうえで嫌がらせを意図したものである場合には、そうした指示・命令に従うことができなかったとしても、ペナルティーを負わることはできません。業務上の命令であっても、それが権利の濫用と判断されれば、命令そのものが無効となるものです。

とくにその指示・命令が業務とは全く関係のないものである場合、それはもはや上司としての命令ではなく、一個人の希望にすぎないことに気が付く必要があります。例えば、たばこを買って来い、競馬の馬券を買ってこい、帰宅時に駅まで送れ、あるいは飲み会などで遅くなったので家まで送れ、などと使い走りのごとく求められるものなどは、業務命令の範疇から全く外れています。またそうした使い走りのために建て替えた代金なども、全く返してもらえないケースもあるようですが、お話になりません。

ひどいケースでは、業務成績やミスのペナルティーとして、上司が部下に向かって飲食をたかるものまであります。上司が部下に対して、日ごろの慰労もかねて一杯奢ることはあっても、逆に上司が部下にたかるというのは、考えられないことですが、こうした上司は、上司としての立場を、部下から便益を受けることができる「利権」とでも思っているのでしょうか。とんでもない勘違いです。が、ところが、こうしたことが当たり前になっていたような職場に長年かかわってきた上司などは、転職や出向などで職場が変わったとしても、「何が悪いのか」と言わんばかりで、以前の習慣を当たり前のものと考えています。本人に問題意識が希薄であることが往々にして見受けられます。

特にこうした金銭の絡む要求が上司からあった場合には、これらは業務上の指示命令などでは全くありませんから、そもそも応じる必要はありませんし、そんな要求には絶対に応じてはいけません。加えて、こうした要求を当たり前のようにする上司には大きな問題があるという意識を持つことが大切です。

こうしたいわば「たかり」の類は、上司だけでなく、職場の先輩などから執拗に求められるケースも見受けられます。決して応じずに、問題を公然化することが肝要でしょう。