シフトを減らされた

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シフトが減ったことが即問題となるものではない

この問題を考える上で、その念頭に置かなければならないことは、そもそもシフトで勤務するパートやアルバイトは、シフトが柔軟に組まれることを前提とする雇用形態である、ということです。ということは、シフトが減らされたことが直ちに問題となるものではない、ということです。

シフトの増減はシフト勤務の前提

頂くご相談の中には、シフトを減らしてほしいと希望しているのに減らしてくれない、といったものものあります。トラブルになるのは、自分の希望したシフト通りのシフト編成とならなかった場合です。そもそもシフト勤務の場合、柔軟なシフトでの就労形態を、労使ともに享受している、という大前提があることを、まずは念頭に置かなければなりません。そうした意味では、希望通りのシフト編成にならなかったことを問題とする場合、その解決のハードルはかなり高いものとお考えになる必要があります。

では、シフトの問題をどう考えればいいのか

シフトによって就労するような、例えばパート、アルバイトにとっては、シフトにどのくらい入れるかは、賃金に直結する重大な問題です。シフトを減らされることは賃金減額に繋がるものです。例えば、これまで週に4日入っていたのに、いきなり週2日とか週1日に減らされたような場合で、合理的が理由の説明などが無いときには、退職勧奨賃金減額や職場からの排除などの感情的な嫌がらせを意図した恣意的なものである可能性があります。まずは事実関係を客観的に把握することが重要で、それが会社に対する効果的な解決行動を導き出します。

なお、正社員が出勤を制限される場合は、出勤停止処分であって、就業規則上などの根拠がなければなりませんし、賃金減額もできません。

雇用条件通知書でシフトの日数が規定されている場合

採用時に交付される雇用条件通知書に、シフトに入れる日数が規定されている場合、例えば、週○日、などと記載されている場合には、その○日よりも著しく少ないシフトであれば、その雇用条件通知書の記載内容との違いについて、この問題に関する責任者に、説明を求めることが肝要です。

不当な意図が無いか

しかし実際には、雇用条件通知書などでシフトの日数が規定されていることはまれでしょう。シフトの日数が規定されている場合とは、例えば、週に○日以上シフトに入ること、とか、月に○日以上シフトに入ること、などの条件が規定されている場合です。たいていの労働条件には、一応の目安となるシフト編成日数が記載されている、と判断されるものでしょう。こうした場合に重要になるのは、採用時から、平均的に、どのていどの日数にシフトに入っていたか、という事実です。たとえば、採用時からこれまでの数年間、コンスタントに週4日シフトに入っていたのに、今月からいきなり週2日になった、とか、夜勤の日数が半減した、といった事実があれば、それについてきちんとした説明を求めることが肝要でしょう。

そこで、たとえば、スタッフ全体で就労日数が減っている具体的な事実があったり、特定業務についての労働時間が削減されているなどの場合には、経営上の何らかの理由があるはずで、きちんとした説明をもとめることが必要でしょう。一方で、特定のスタッフのみがシフトを減らされているような場合など、具体的な説明が無く、抽象的な説明に終始している場合には、会社にとって不都合な理由がある可能性が推測できます。つまり、退職勧奨を意図した仕事外しの可能性があるということです。

とくに、期間契約で雇用期間が5年を超える場合には、無期契約への転換を求める権利が発生するため、意図的にシフトを減らし、無期転換権発生前に退職させようとしている可能性もあります。

すでに決まっているシフトの勤務を外された場合

シフトで勤務するような就労形態 の場合、そのシフトは通常前月中に決まっているものですが、そのいったん決まったシフトを、あとからその日は来なくていい、などと言われるなど、シフトで 決まった日数が勤務できなかった場合には、会社都合による休業として、会社は少なくとも賃金の6割以上の休業手当を支払う 必要があります。ここで少なくとも、と書いたのは、状況によっては100%請求が可能な場合があるからです。

このときに、会社側からは、シフトの変更については同意があったとか、シフトの変更に関しては日常的に生じるものであって、暗黙の了解事項になっている、と言った説明がある可能性があります。こうした場合には、本当にそうなのか、同意をしていないことをどう主張するか、暗黙の了解と言っても、そのような状況がこれまでまったくない、などの状況を説明できるかどうかが、重要になってきます。

店長などの個人的な感情が原因の場合は社内的な解決も可能

飲食関係のチェーン店などの店長やマネジャーなどの責任者が、自分の気に入らないスタッフに対して嫌がらせの意図をもってシフト編成をしている場合には、本部人事を味方につけることで、比較的容易に解決ができる事例といえるでしょう。本部人事がこうした問題に全く頓着しないようなケースや、そもそもそうした指示を率先して各店舗に指示しているようなケースでは、社内的な解決は困難といわざるを得ません。

能力不足を理由に告げられた場合

例えば、業務のミスが多いとか、作業が遅いなどの理由でシフトを減らしたなどと言われた場合、自分に原因があるのだから仕方がない、と思いがちですが、それまで会社はきちんと教育指導をしたでしょうか。注意指導などが何もなく、いきなり能力が無い、などと突然言われても思い当たるものがありません。そうした場合には、能力不足の具体的な内容について説明を求めることです。

なお、能力不足が理由の懲戒処分はあり得ません。仕事ができないことが罰せられる理由にはならないということです。能力不足の場合には、労働債務の不履行として、契約の解除、つまり解雇や雇い止め、という対応になるのです。能力不足が解雇や雇い止めを相当する程度の合理的な理由となる余地があれば、ラストチャンスとして、シフトを減らして一定期間様子を見る、という対応も認められるでしょう。この場合のポイントは、「能力不足が解雇や雇い止めを相当する程度の合理的な理由となる」かどうか、という点です。つまり、解雇されても致し方ないほどの能力不足か、ということです。これは相当ハードルが高いと考えるべきで、再三にわたる注意指導にもかかわらず改善されないケースなので、もし注意指導などが全くないような場合に、いきなり「解雇」は認められないでしょう。

一方、能力不足を補うために、一定期間をOJTを目的に勤務してもらうといった場合であれば、これは指導教育の一環として、その後の改善状況によってはシフトを以前の状態に戻すという前提での対応も認められる余地もあろうかと思います。

勤務不良を理由にする処分の場合

例えば、遅刻欠席が懲戒処分規定に抵触するような場合には、処分規定に従ってシフトを減らすという対応も考えられます。この場合には、その事由が処分規程に規定されている必要があります。しかしシフトの減少が果たして懲戒処分なのか、人事上の措置なのか、はっきりしないものです。通常懲戒処分は厳格に判断されるため、軽々に発せられることはありません。ということは、たいていの場合は、人事上の措置ということになります。

もっとも人事上の措置だからと言って、いかなるシフトの操作も会社の自由になるわけではありません。いずれにしてもきちんとした理由が無ければならないことに変わりはありません。

理由が曖昧なことも多い

しかし実際には、シフトが減らされた理由がはっきりとしていることは少ないかもしれません。理由を聞いても、シフトを作ったのは○○さんだからわからない、とか、あるいはとぼけられることもあります。そうした場合には、理由なくシフトを減らすことは契約違反であることを明言したり、シフトが減らされることによる不利益な状況を具体的に指摘して、そうした対応は止めるよう強く求めることが大切でしょう。

もちろんこうした要求によって事態が改善されればいいのですが、こうした要求をすることは、事態の改善を図る以上に、あなたの意思表示を明確するという大きな意味があります。つまり解決行動の第一歩になる、ということであり、もし改善が図れなかった場合には、次の行動を起こすことを暗に示すものです。

事前に説明なく、シフトを見たら減らされていた!?

シフトを減らされたケースで、みなさんが一応に疑問に思うのは、このケースでしょう。これまでコンスタントに週4日とか、週5日入っていたのに、来月のシフトは週2、3日、もっとあからさまなケースでは、週1、2日、週1日も入っていない週もある、これってどういうこと、などと、シフトを見て初めてそのシフトの変化に気が付いたような場合、まず、考えなければならないことは、「何で事前に説明がなかったのか」ということです。

シフトを減らす事前説明がなぜ無いのか?

この答えは極めて明白です。それは、出来れば説明したくないからです。説明をすれば、それに対してあなたから様々な異論が出るでしょう。また疑問にも答えなければなりません。そのような薮蛇なことはしないで、コッソリとシフトを減らして、それに対して、あなたが何も疑問を投げかける訳でもなく、これまで通りの仕事に取り組んでいれば、その後でシフトを減らした説明など、あるはずがありません。シフトを減らした担当者、責任者は、「何も言ってこないぞ…よかった…」と思っているのです。そしてこのまま、ずるずるとシフトを減らした状態を既成事実化して、更に同じ方法で、さらにシフトを減らそうとするかもしれません。

シフトを減らした理由を求めて、初めて出てくる山ほどの理由

ここで説明される理由が、事実に基づくものである場合、あなたは反論することができません。少なくとも、その事実に対しては、ということです。では、どうすればいいのか。そもそも、なぜ事前の理由説明なくシフトを減らしたのか、その動機が問題である、ということに気が付く必要があります。なぜあなたにシフトを減らされたことに対して、疑問を持たれるような対応をしたのか、それは紛れもなく、不当な意図があるからです。多分そのように断言できると思います。なぜならば、あなたご自身が、シフトを減らされたことに対して、納得をしていないからです。

正しいシフトの減らし方

では、もし同じようにシフトを減らされたとしても、事前にどのような説明や対応があれば、あなたは納得したでしょうか。

まず事前の説明は不可欠でしょう。今このような問題がある、その問題が改善できなければシフトを減らすことになるよ、という予告がまずあってしかるべきです。

次に、ここで指摘された問題の内容です。これがそもそも無理難題であったり、改善を求めること自体に違和感を覚えるような内容であれば、何らかの意図がある、つまりシフトを減らすことを前提にした罠である可能性がある、ということです。

ここで視点を変えますが、シフトを減らす方の立場、例えば、職場の責任者、支店長とか、所長、店長などでしょうか。なぜシフトを減らす必要があるのか、その目的が明確になっているのか、この点をまずしっかりとお考えになることです。シフトを減らすことが目的ではダメだ、ということです。

もしその対象となるスタッフの能力不足について、さすがに見るに見かねるものがある、という場合であれば、まず、スキルアップの機会を与える必要がある、ということです。つまり、「やっぱりあいつは使えないから、何とか辞めてもらいたいなぁ。とりあえずシフトを減らすか…」では、ダメなのです。適切な目標を与え、徹底した教育指導をし、その結果を確認した上で、それでも改善されないことを本人と事実関係を共有すること、その上で、次に何をすればいいのかを一緒に考えることです。そして新たな目標を設定する、その繰り返しの中で、別の仕事をしてみようか、さすがに、ちょっとシフトを減らそうか、という展開になるのです。

つまり、シフトを減らすことを目的にしていけない、あくまでも、問題の改善に視点を置くこと、その結果としてシフトを減らすほかないか、という展開になるのだ、ということなのです。

ところが、まさに今トラブルに直面している店長らは、こうしたプロセスを全く踏まずに、面倒臭いから、まずシフトを減らしてみよう、これで文句を言われなければ、もっと減らして、自分から辞めてくれればいい、そう思っているのではないでしょうか。

事前説明の無いシフトの減少は、不当な意図があることが明白

ここでまたあなたに視点を戻しますが、上記の通り、トラブルになってしまうシフトの減少は、事前の説明内容を云々する前に、そもそもあなたに対して、事前の説明が全くないものが大半です。これは本当に残念なことです。

百歩譲って、上記のような対応を取っていれば、あなたの納得が得られかもしれないとしても、そもそも、そのような状況が果たしてあったのか、極めて疑問です。これはこれまでお受けしたご相談の状況から言えることですが、シフト減少のトラブルの大半は、いえ、ほとんどと言って良いと思いますが、シフトに関する権限を持つ管理職の「感情的な嫌がらせ」であると言って良いと思います。

ここであなたは何をするべきか、ですが、それは「なぜ事前に説明をしないのか」と、問いかけることです。これは事前の説明をあえて避けた確信犯の上司らにとって、思わずみぞおちが痛み出す問いかけです。

対応方法はまさにケースバイケースですので、具体的なケースについては、ご相談メールをお送り下さい。あなたの状況への対応方法などについて、簡単にコメントして返信します。

【参考コラム】シフトの減少にどう対応すべきか

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