退職させてもらえない!?退職したいと言えない!?

2023年10月4日

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退職できないという問題はあり得ない

この問題については、実は法的には決着がついています。そもそも退職は、これは労働契約の解除、ということになりますが、契約の解除は、契約当事者の一方的な意思表示で適法に成立します。ですので、退職させてもらえない、という問題はあり得ないことになります。

「退職したいと言えない」のはあなたの気持ちの問題

ましてや「退職したい」と言えないという問題はあなたの気持ちの問題であって、あなたが退職したいという意思表示をどうするか、というものですから、退職させてもらえないという問題ではありません。この「退職したい」と意思表示する方法は、何も直接上司や人事に口頭で伝えるだけではありません。退職したいという意思が伝わればいいのですから、どうしても顔を合わせたくないということであれば、書面やメールでも、意思表示をするという意味では、法的には何ら問題があるものではないからです。問題はその内容です。

「退職できない」のは、あなたが同意退職を求めているから

さて、「退職させてもらえない」ことにお悩みのあなたは、上司などに退職の意向をお伝えになったところ、それは認めない、と言われてしまい、途方に暮れている、というものではないかと思いますが、これはあなたが「同意」退職を求めたが、「同意」してもらえない、という問題であるということになります。

にもかかわらず、なぜあなたは退職できないことを悩むのか?

ということは、あなたが会社の「同意」を得て退職したい、という意向にこだわらなければ、問題は解決することになります。おそらくこうした内容については、ネット上に様々な情報が蔓延しているのではないかと思われることと、上記のとおり、そもそも問題ではないという点で、あえて触れてこなかったのですが、退職したいけれど、上司が退職を認めてくれない、というご相談が、残念ながらまだまだ多いことから、あえてここにコメントを書くことにしました。

翻意を求められているのか、退職を拒否されているのか

これは紙一重ですが、翻意を求められている、ということは、

「あなたは貴重な人材だから、どうか辞めずにこのまま残ってほしい」

と懇願されているのか、あるいは、

「退職なんて冗談じゃない。お前の採用にいくら掛かっていると思っているんだ。退職するなら損害賠償を請求する」

などと退職することがあたかも極悪な所業であるかのように、拒否する意思を示されているのか、そのいずれかかと思いますが、おそらくお読みになっているあなたが直面しているのは、後者のケースではないでしょうか。

穏便な退職をお考えの場合

前者のように、翻意を求めれているのであれば、いささか鬱陶しいと感じたとしても、もし何かの機会に、ブーメランガーとして戻ってくることもあるとするならば、あまり邪険にするのは考え物でしょう。評価をしてもらえることをに感謝の意を示されたうえで、丁重にお断りをされればいいと思いますし、もし機会があればまたお世話になることがあるかもしれませんので、その時にはよろしくお願い致します、とお告げになっておかれればと思います。

退職の意思表示を非難する上司の器の大きさ

それに対して、血も涙もない奴だ、とか、義理人情が分からないのか、などと憎まれ口をたたかれたとしても、その上司の器の大きさを図る材料にするにとどめ、反論などはせずに心に収めておくことが賢明でしょう。

脅迫は無視すればいい。が…

「辞めたらどうなるか分かってるのか?」「お前のうちまで押しかけてやる」「二度と就職できないようにしてやる」…第三者からみれば、余りに馬鹿馬鹿しくて聞いていられませんが、これが当事者であったとしたら、そして実際にあなたがこのような状況に直面しているとすれば、恐怖でしかないと思います。これが職場という狭い世界の中で行われれば、だれでも恐怖を覚えると思います。ですが、一歩職場から出てみれば、これは上司によるパワハラ以外の何物でもない、ということを冷静に判断できるのではないでしょうか。

翻意を求める脅迫はパワハラそのもの

これは退職に対する翻意を求める言動などでは全くない、あなたに対する感情的な暴言、脅迫、嫌がらせなのです。このような言動を放置黙認するべきではありません。ここであなたが会社にお求めになることは、穏便に辞めさせてください、という同意退職を求めるものではなく、パワハラは止めろ、というパワハラ行為に対する問題解決です。

【参考コラム】上司や同僚の暴言

同意退職にこだわらないならば、一方的に退職の意思表示をする

退職したいという社員を、

「辞めるなんて冗談じゃない、ふざけるな、辞めるなら後任を探して、引継ぎを済ませなければ認めない」

などという対応自体が、如何に無意味な嫌がらせか、発言者本人は全く自覚していません。あなたに辞められることで、自分の責任問題に発展するとか、自分の会社からの評価に影響があるとか、結局上司自身の保身のための言動ですから、正面からまともに受け止める必要など全くないものです。そもそも、あなたが辞めると言えば、適法に辞めることができるからです。

「辞めさせて頂きます」の一言ですべて解決する

ですが、頑として退職なんか認めない、という姿勢を一貫させる上司に対して、あなたはどう対応すればいいのか、お悩みになっているわけです。ですが、繰り返しになりますが、上司が何をどう言おうが、あなたの

「辞めさせて頂きます」

の一言で、全ては解決する問題ではあります。

行き詰まるのは、八方丸く収めようとしているから

ですが、その後の仕事はどうしようか、とか、同僚に迷惑をかけることになる、それでもこれまでお世話になった会社を一方的に辞めるのは忍びない、何とか穏便にならないものか、などとあなたはお考えになっているのではないでしょうか。

全ての原因は人材軽視の会社の姿勢

本当であれば、あなたのような人材を会社を大切にしなければならなかったわけで、なぜ退職しなければならないような状況になったのか、退職という決断をしなければならなくなったのか、その原因は多かれ少なかれ会社にあるのではないでしょうか。特にあなたの退職を執拗に批判する上司は、あなたの離職によって自分の管理職としての責任を問われかねないことだけを考えているのではないでしょうか。しかもその上司がこれまであなたに対して、有形無形の嫌がらせをして、あなたが退職せざるを得なくなったとすれば、どうしようもない上司であって、同意退職などにこだわる必要は全くないのではないでしょうか。

脅して退職を認めない言う上司は、全く相手にする必要はない

退職したいという意向を示した社員に対して、脅して、批判をして、退職をを認めない、などと公言する上司に対しては、同意退職など望むべくもない、というより、そもそも同意退職を求めるような相手ではない、ということではないでしょうか。そもそも、退職をしたい、という意向に対して、脅して、脅迫をして翻意を促すような対応をすること自体、ありえないことであって、極めて異常な事態です。正面から対応する必要など、全く無いことを冷静に認識することが大切です。

退職の意思表示の方法

できるだけ穏便に、とお考えであれば、まずは一応、あなたの退職を執拗に拒否する上司に対しても、退職届をお出しになると同時に、その上司のその上の上司に、また、人事部等の人事に関する部署がある場合にはその人事関係の部署、人事等が無い組織であれば、直接経営者になるのかもしれませんが、上司が受領を拒否することをお伝えになったうえで、退職届をお出しになればと思います。

内容証明郵便は問答無用の意思表示

退職届の拒否が、上司個人の感情的な問題であるとすれば、ここで問題は解決します。会社との間では、平穏な解決が図られたことになります。逆に、上司から退職届の受領を拒否されたことをもって、いきなり人事に、あるいは経営者に対して、後でも触れますが、内容証明郵便で退職の意思を示したとすれば、いったい何ごとだ、ということになるのではないでしょうか。ましてや、上司にすら退職の意思もそのようなそぶりも見せずに、いきなり内容証明郵便で退職の意思表示をするなど、平穏な離職とは正反対の対極にあるもので、会社はあなたの真意を測りかねるのではないでしょうか。段階を踏む、ということが大切かと思います。

意思表示をしたことを形に残すためには

ですが、もしここでも退職届の受け取りを拒否された場合、それが経営者である場合には、一方的に意思表示をしたことを示す事実が残る方法で、退職の意思をお示しになることを考えなければならないかもしれません。冒頭で書きましたが、退職は、あなたの一方的な意思表示で適法に成立することから、意思表示をすれば問題は解決するわけですので、問題はその形に残る方法です。

手軽なところでは、退職をお告げになるメールを送り、それに対して、退職まかりならん、という返信があった場合には、ここで意思表示が会社側に伝わったことを示すことになります。

内容証明郵便の活用は、状況を考えて…

もっと確実に、ということであれば、内容証明郵便で退職の意思をお示しになれば、間違いないことにはなります。ですが、この内容証明郵便は、相手に対して、有無を言わせずに「どうだ」と迫るものですので、状況をお考えになる必要はあるかと思います。金輪際関わることが無い相手とか、全くお話にならない相手であれば、選択肢の一つかと思います。

それでも退職の意思表示に躊躇するあなたへ

ですが、退職をどうお告げになるかでお悩みになっているあなたに申し上げたいことは、お辞めになる際に、何も言わずに行方不明になってしまう人もいる、ということです。退職届も出さず、いきなり欠勤をするというのは、業務に支障があるということだけでなく、これはただの無断欠勤なのか、退職したいということか、それによって社員としての地位についての手続きが滞るという問題もあり、会社にとっては大迷惑なのですが、そんな風に辞めていってしまう人もいる、ということをお知りになれば、どう退職すればいいかについて真摯にお考えになるあなたは、会社に対してすでに十分に誠意をお示しになっているとお感じになるのではないでしょうか。

退職の意思表示の仕方で悩む必要はない

あなたの退職届に対して、退職などけしからん、などと言うような相手に対しては、むしろ退職の意思表示もせずに、さっさと消えてあげればいいのです。とあえて申し上げる意図は、ここまでお読みいただいたあなたは、きっと退職届について、もうお悩みになることが無いことを期待したいからです。

具体定な対応方法については、こちらからご相談ください(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。

【参考コラム】問題解決のための行動に一歩踏みだす前にお読みいただきたいコラム~解決行動を起こす前に考えるべきこと

Posted by kappa