パワハラの加害者にされた

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もしあなたに、パワハラの加害者であると指摘されるような事実が無いのであれば、全く心配する必要はありません。しかし一方で、こうした指摘に対して、何ら反論せず、または黙認していることも懸命ではありません。

会社側から、パワハラに関しての聞き取りなどがあった場合には、パワハラであるとされた事実を具体的に特定させることが重要です。もし会社側から、具体的な事実の特定がなされなかったり、あるいはそれができない旨の返答があるときには、あなたが加害者として何らかの処分をするようなことは、会社はできません。もし何らかの処分がなされてしまったような場合には、会社がそれを撤回しない場合には、法的な解決を図るほかないでしょう。

とは言うものの、パワハラであると指摘されるような事実が全くなかったか、と問われ、自信を持って、「無い」と言える方は、むしろ少数派かもしれません。自分ではパワハラの認識は全くなかっとしても、果たしてパワハラと言われるような言動がなかったか、不安になるのでは無いでしょうか。しかし、こうした心配をされる方は、おそらくパワハラであるとされるような言動はされていないのではないでしょうか。むしろ問題なのは、自信を持ってパワハラ的な言動は全くしていない、とお考えになる方だろうと思います。もっともそうお考えの方は、このページをご覧になることもないと思いますが…

パワハラを理由に何らかの処分を告げられた場合

客観的な事実について、それをパワハラであるとして会社から何らかの処分が告げられた場合には、まず、その事実が果たしてパワハラに該当するのか、という問題と、パワハラが懲戒処分に該当する事由として就業規則などの規定されているのか、そしてそもそも会社としてのパワハラの定義の問題など、確認すべき要素は多岐にわたります。

仮に何らかの懲戒処分が妥当であると判断されるとしても、その処分内容が相当かどうかという問題もあります。非常に微妙な判断が求められる点もあるため、処分に納得ができないのであれば、問題提起をすることもやぶさかではないと思います。

パワハラがあったと申告があった

というだけで、あなたが処分されることはありません。ここで処分されたとしたら、法的には会社に対して処分無効の判断がなされるでしょう。それに加えて慰謝料請求も認められるかもしれません。冷静な対応が求められます。

まず、事実関係の確認です。いつ、どこで、誰に対して、どのような言動があった、という事実は真実なのか、ということです。そもそもこれが明らかにならなければ処分などありえません。それは被害者の希望で詳しくは言えない、とか、プライバシーの問題がある、などと言われるかもしれませんが、これでは事実の確認以前です。むしろ会社はあなたに対する処分ありきで手続きをすすめたいだけなのかもしれません。もしここで、抽象的な指摘に対してパワハラがあったことを認める言質を取られれば、まさに会社の思うつぼです。

上司と親しい部下がグルになっている!?

やっかいなことに、あなたに対するパワハラ申告の本人が、あなたの上司と親しい関係にある場合、そしてその上司とあなたの人間関係が微妙であったり、あるいは嫌悪感を抱かれているのでは、と感じている場合には、これは上司と部下がグルになっているのでは、とも思いたくなりますが、決定的な事実が無い限り、やはり推測であり、憶測なので、慎重な対応が必要でしょう。

いずれにしても、パワハラの事実があったのか、そのプロセスには、根気がいる場面もあるかもしれませんが、を突き詰めれば、自ずから結論は出てくるものです。

会社が認めた事実は真実か

通常パワハラがあったなどの申告や相談があった場合には、会社はまず当事者双方から事実関係の確認をします。もし申告者からの聞き取りのみで会社が事実を認定しているのであれば、加害者とされたあなたかの聞き取りを強く求めることです。特に申告者が事実と異なる報告をしている場合には、それが事実ではないことを、具体的に説明する必要があります。

例えば、「些細なミスについて職場の同僚がいる中で執拗に叱責し、しかも関係のない親までも侮辱された」、といった申告者からの話については、「業務の適切な範囲での叱責で問題はないし、まして親など侮辱した覚えはない」といった抽象的な反論では説得力がありません。

そのミスがどのようなミスで、決して些細なものとは言えないこと、申告者のミスは今回が初めてではなく、再三の注意にもかかわらず繰り返し同じミスをするため、職場の他の同僚の負担になっているが、申告者本人は全く意に介さないため、あえて職場の同僚がいる中でミスを指摘し、叱責しなければ他の同僚らに示しがつかないため、あえてしたこと、とか、親の侮辱については、「親の顔が見てみたい」と発言してしまったことは事実で、これは余計な一言だったと反省している、しかしそれ以上の発言はしていない…

といった具体的な弁明があれば、会社も心を動かされるのではないでしょうか。安易な妥協は、あなたの立場を悪くするだけでなく、モラルハザードの原因にもなります。つまり次にも同じようなことが起こりやすくなる、ということです。

事実は事実だが、パワハラとは認められない

会社が認めた事実は確かに事実だが、それをパワハラとされることに納得ができない、特にパワハラであるとして何らかの処分をされるとすれば、なおさらでしょう。ここでは、パワハラ認定の問題と、それを前提とする処分の問題に分けて考える必要があります。

パワハラかどうかの判断は、そもそもパワハラという概念に法的な定義が無い以上、パワハラかどうかという議論をすることに意味はありません。もし意味があるとすれば、会社にパワハラ防止規程があり、その中で何がパワハラに該当するのか、具体的な行為が掲げられていて、それに該当するのかどうか、という問題になります。

会社にそうした規定もなく、パワハラであると判断された場合には、その根拠を会社に説明させる必要があるでしょう。こうした場合に会社が参照すれであろう厚労省の公表しているパワハラの定義について、事前に確認しておくといいと思います。

指摘された事実がパワハラに該当すると認められた場合には、次に問題となるのはそのパワハラに対する処分でしょう。これは懲戒処分の問題になります。

会社のパワハラ防止規程の中で規定しているパワハラ事由のいずれかに該当したからと言って、いかなる懲戒処分も甘んじて受けなければならない訳ではありません。もし、思わず手が出てしまったという暴力や業務とは関係のないプライベートに関すること、個人的なことを中傷した場合には、重い処分もあるでしょう。その場合には、まずあなたが誠意をもって反省の意を示すことが何よりも重要かと思います。

しかし、思わず声を荒げてしまった、という事実のみでは、どんなに重くても譴責程度かと思われます。もちろん具体的な事実関係によって、まさにケースバイケースですが、間違っても懲戒解雇などはあり得ないでしょう。

申告者によからぬ意図が無い限り、パワハラ行為については、処分云々を別にしても、誠意ある対応で信頼関係の修復に努めることが、事態の早期解決につながるという点は、前提として念頭に置いておく必要があると思います。

パワハラと指摘された言動が事実である場合

程度の問題もありますが、少なからずパワハラと指摘された言動が事実であって、仮にそれが懲戒処分に該当するようなものではなかったとしても、また業務上の必要の範囲であると判断できる場合であったとしても、当事者間の信頼関係の問題として、パワハラを受けたと相談した被害者である従業員の心情を考えれば、今後の業務に相当な影響があることは間違いなく、会社としては、当事者同士の隔離措置を取ることは、最低限の対応と考えられます。

そのため、何らかの処分などがないとしても、配転等の措置は、ある程度の範囲で甘受する必要があると思われます。少なくとも業務上の接触を断つことは致し方ないでしょう。

ただ懲戒処分ではない、人事上の措置として、配置転換等の措置が取られたとしても、その配置転換が、加害者とされたあなたにとって、著しい不利益を受けるようなものであるような場合までが認められる訳ではありません。あるいは人事上の措置として、降格や減給などの処分がなされる場合には、まずは降格・減給の処分の根拠が就業規則等にどう規定されているのか、確認することが先決でしょう。

もっとも懲戒処分事由にも該当しないような言動によって、たとえ人事上の措置と言っても、降格・減給などが認められるとは思われませんので、毅然と対応する必要はあろうかと思います。

トラブルの大半は、結局、処分もなければ、ペナルティーもない…!?これって、どういうこと?

パワハラがあったとして、会社側の公式な対応がある場合にはまだ問題にどう対応すべきか考えることもできますが、お前はパワハラをした、パワハラ加害者だ、と言われるだけで、感情的な非難以外には、何ら人事的な処分がない場合、これはパワハラとして処分ができないが感情的に許せないという気持ちの表れなのか、あるいは、もっと意図的に、あなたをパワハラ加害者であることをことさらに公言をして、あなたを不利益な立場に追い込もうとしている、自発的に離職するような気持にさせようとしている、そのいずれかとも感じますが、どうでしょうか。

実はこのケースはかなり広範にみられるもので、パワハラの事実関係の確認の煩雑さやその結果としての処分に踏み切るリスクを勘案した場合、軽微な注意指導にとどまらざるを得ないと会社が判断したことに、納得ができない当事者や、その同調者が、感情的にあなたを攻撃するというものでしょう。あるいは、その当事者や同調者があなたの上司である場合、上司としての権限であるかのように始末書の提出を求めたり、謝罪文を書くよう命じたりすることもあるようですが、これらはその上司個人の感情的な判断であり、安易に応じるべきではありません。

始末書の提出を求められた場合

始末書の提出を求められた場合、その始末書に何を書かせたいのか、という内容にもよりますが、一般論として、始末書は懲戒処分に伴って、将来を戒めるために自らを顧みて過ちを認め、それを繰り返さないことを宣明するものと考えられますから、懲戒処分の手続きを踏まずにいきなり上司から始末書を提出しろと命じられたとすれば、懲戒処分権限の濫用の可能性が濃厚であると考えられます。そうした意味でも、安易に応じないことは大切ではないでしょうか。

それは、もしその始末書を提出した場合には、あなた自身が、パワハラ行為をしたことを認めたという言質を取られる格好の材料にされかねないこと、その始末書を理由に、将来の評価や昇進昇格等に影響を及ぼしかねない、という意味でも、重要でしょう。

「あなたはパワハラをしましたか」という質問には答える必要なし

パワハラの事実を具体的に特定せずに、いきなり「パワハラをしたか」「これはパワハラかと思うか」「問題だと思わないのか」などと、あなたがあたかもパワハラ加害者であるような、パワハラ加害者であることを無理に認めさせようとするような問いかけには、正面から答える必要はありません。パワハラの申告があった場合、まずはその具体的な事実確認があるものであり、そうしたプロセスもなく、いきなりこのような問いかけがあることは、通常考えられません。というよりも、問いかけそのものに問題があるからです。わな、と言ってもいいかもしれません。

これは事実関係の確認ではなく、上記とも重複しますが、パワハラをしたという言質を取るための誘導であり、あるいは強要であって、とても適切な対応をしているとは思えません。むしろこのような問いかけが唐突にあった場合には、あなたを恣意的にパワハラ加害者に仕立て上げたい詰問者の意図がある、とお考えになることが極めて妥当でしょう。

こうした場合に、パワハラをしていない、あるいは、具体的な事実の指摘をするよう求めると、詰問者は、「そんな認識だからダメなんだ」「全く自覚がないのか」「反省の態度が全く見られない」などと、具体的な事実には徹底して触れずに、あなたを非難攻撃したりするでしょう。この段階で、あなたは、これはパワハラの問題ではまったく無いこと、この詰問者が、あなたに対して、何らかの不利益を与えることを意図した極めて悪質な言動をしている、ということに、明確に気が付く必要があります。

具体的な対応については、ご相談メールをお送り下さい。対処方法やその考え方などをコメントして返信いたします。

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