この問題は、部下の不幸としか言いようがありません。もっとも上司にやる気がないと、部下も楽ができるという面はあるのかもしれませんが、会社としては由々しき問題です。逆に言えば、こうした状況を会社が問題視して、解決を図ろうとしない限り、部下の立場からは何も言うことができません。つまり、会社が、それでいいのだ、と判断しているのであれば、仕事もその程度でいい、ということになります。
都合の悪いことは部下に押し付ける上司
業務指示は上司の権限ですが、以下の上司の業務命令であったとしても、自分はいつも楽な仕事ばかりしていて、面倒な仕事は部下に押し付けるような場合、部下の立場としては腹に据えかねるものがありますが、業務命令権限が上司にある以上、これを法的に問題とすることは難しそうです。すべき業務が山積にしているにもかかわらず、それらを部下に丸投げして早々に帰宅するような上司や、自分と馬の合うスタッフとしか同じシフトを組まないような上司は、むしろリーダーシップの問題であって、会社がそうした上司の対応を把握しているのか、どう判断しているのか、という点が問題解決を考える上で重要な要素かと思われます。
プライベートに積極的に関わろうとする上司
ただ仕事ができないだけならまだしも、部下にとってより問題が大きいのは、仕事はしないのに、従業員のプライベートに入り込んで来たり、職場内での派閥、グループ作りには積極的という管理職です。不要な対応は、職場での立場を悪くするのではという思いから、不承不承そうした理不尽な指示に従うこともあるかもしれません。しかし上司は、あくまでも業務上の上司であって、業務外ではなんら指揮命令ができる権限はありません。
仕事はしないのに暴言ばかり吐く上司
仕事をしないのに、いわゆるパワハラに該当するような言動が頻繁であるような場合に、問題解決を第三者に求める際に注意すべきことは、パワハラの言動よりも、仕事をしないことについての事実関係の説明に重点が移らないようにすることです。それは、問題の焦点がずれることで肝心のパワハラ言動の解決に至らないだけでなく、仕事をしないことについての指摘が多くなると、そうした説明を聞いている担当者は、問題の上司に対して嫌悪感を持っていることが原因と受け止められかねません。あくまでも暴言を辞めるよう求めることが重要でしょう。
自分の仕事にどんな悪影響があるのか
とはいうものの、やる気のない上司が原因で、自分の仕事に支障が出るのであれば、それが自分の評価に影響することになってしまいます。そうした支障を取り除いてもらえるよう、対処を求めることも、この問題の一つの解決方法になります。ただ、やる気のない上司に腹立たしく感じているあなたの最も大きな関心事は、なんとか上司にしっかりとした仕事をしてもらうこととか、別の上司に変えてもらうこと、あるいは自分の異動などかもしれません。ただこうした希望は、申し入れをすること自体はやぶさかではありませんが、結局のところ、会社の人事権の範疇であり、会社の裁量に任せるほかありません。つまり、あくまでも話し合いによって解決すべき問題、ということになります。
上司の批判ではなく、事態の改善を求めること
仕事をしないで一日中スマホをいじっているとか、パソコンの陰で居眠りをしているとか、ダメ上司のアラが見えて仕方がないとしても、ことさらに上司のこのような怠惰な様子ばかりが気になって、人事に改善を求める際にも、ついついこうした上司の仕事をしないことに対する不満が感情的に吹き出してしまうかもしれませんが、このような説明ばかりになってしまうと、問題の解決ではなく、ただ単に上司に対する不平不満の愚痴をこぼしに来ただけ、という結果になってしまう可能性があります。
上司の怠惰な仕事ぶりの説明は最小限にして、そうした仕事によって、業務にどのような支障をきたしているのか、悪影響を及ぼしているのか、その結果成果も、この上司になってからこんなに下がっている、などの具体的な影響を示すことができれば、どんなに腰の重い人事だったとしても、動かざるを得なくなります。大切なことは、上司の不満を告げることではなく、事態の改善にあることを、強く認識することが何よりも重要ではないでしょうか。
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