無視

2023年10月18日

まず、無視の具体的な状況を客観的に把握する

無視は嫌がらせの一つですが、問題は、無視されたのか、それとも気が付かなかっただけなのか、という判断と、それが意図的な無視であったとしても、その程度や頻度、期間などがどのようなものか、という点が重要な判断要素でしょう。

特に業務上の指示や問い合わせに対して無視されるような状況は、退職勧奨を意図した仕事外しとも解釈されるものですから、即問題解決を会社に求めるべきでしょう。

【参考コラム】仕事外し

業務時間外の場合

同僚などから、職場での休憩時間などに私語の仲間に入れてもらえないなどの問題は、職場環境を配慮すべき会社の義務違反となる可能性もあるので、職場の職員間の信頼関係構築のための配慮を求めることもやぶさかではありません。こうした場合に注意しておきたいのは、業務時間外のいわばプライベートの時間であって、その時間まで会社が拘束するいわれはない、という前提があることです。しかし業務時間外であっても、職場の人間関係の悪化を招くものであり、業務にも多大な影響があることを会社側に認識させることで、解決にかかわらせることも可能性でしょう。

【参考コラム】仲間外れ

また、職場での上下関係やリーダーシップなどを、プライベートの時間にも行使することは、まさにパワハラであって、こうした事実を会社側に伝えることで、嫌がらせを止めさせるよう求めることもポイントです。

もし、こうした業務外の時間であっても、無視をしているのが上司などの業務上の管理責任を負う立場のものである場合には、業務外だからという言い訳は認められないでしょう。業務外であっても、業務上の上下関係を利用したものであれば、パワハラの範疇にあるものとお考えになって差し支えないかと思います。

業務中の私語に加われない…?

ただし、その無視が業務中であり、しかも業務中には控えるべき私語に加われない、という場合には、そもそも業務時間中の私語自体が問題なのですから、それに加われない、無視される、という状況に対して、無視しないでほしい、と求めることは、一緒に、業務中の私語という服務規律違反の仲間入りをさせてほしいと求めるに等しい可能性もあり、それに対して、会社が、仕事仲間はずれをしないように注意することは、通常考えられないでしょう。

むしろ、業務時間中の私語はいかがなものか、と職場の私語について注意がなされるのではないでしょうか。かりに、こうした業務中の私語に上司らも加わり、その私語からあなたが無視や仲間はずれの状況にあるとすれば、まず上司の処分が考えられるでしょう。

業務上の無視は即問題にする

特の上司が、あなたを感情的に無視をしたり、業務上必要な情報を与えず、業務の遂行に支障をきたすなどの場合には、それはあなたに原因があるのではなく、上司が必要な情報を伝えない、必要な指示を与えないなどの無視が原因であるとして、状況の改善を会社に求めなければなりません。

業務上の無視は意図的にあなたを困らせることが目的

上司による業務上の無視は、あなたを困らせることを意図して行っているのですから、それが原因で業務上の問題が生じた場合には、まさに思うつぼと上司から叱責を受ける可能性があります。こんな理不尽なことはない訳で、叱責されるに任せていてはいけません。無視の事実関係をきちんと説明をして、叱責を失当であることを意思表示しておくことも大切でしょう。

【参考コラム】叱責の問題

無視を止めさせる解決行動で、ミスの責任を上司に転嫁する

しかし、業務上のミスや何らかの不都合な状況が生じてしまってから、その原因は上司の無視にある、と説明することができ、また、それを人事などの社内的な解決担当者に認めてもらえたとしても、問題が生じることを予測できていながら、あなたからそうした問題を回避するような行動をとっていなかった場合には、何故きちんと指示を求めなかったのか、と問われる可能性もあります。そうした意味でも、無視をするな、きちんと業務上の連絡をしろ、とお求めになっておくことは大切です。

無視し続けることが分かっていたとしても…

もちろん無視という幼稚な感情的対応をする上司に全面的な問題があることは当然としても、問題の回避のために何ら行動を起こしておくことは必要です。たとえそうした行動を起こしていたとしても、上司は無視をし続けるであろうことが明白かもしれません。それでもあなたは問題回避行動を起こしておくことがとても重要になってきます。それは、あなたとしては、指示を求め続けても無視された、という状況を残すことができるからです。

上司から、業務上の無視をされた場合には、放置せずに、その場で対処することが肝要でしょう。それはあなた自身を守ることにもなるからです。

会社側からの典型的な対応シミュレーション

上司らからの無視があからさまになり、あなた自身が耐え難い状況になったときに、人事等に問題の解決を求めたとします。この時、人事あるいは人事から事実確認を受けた上司は、

「気のせいでしょ。ちょっと疲れてるんじゃないの?」

と答えてお茶を濁そうとします。それに対してあなたが、

「〇月〇日に、〇〇の問題についてお聞きしたときに、あの時私は、繰り返しお聞きしました、会議室を出たときです。それに対して、私を振り切って逃げましたね。なぜですか?」

と、具体的な出来事を指摘したとします。すると上司は何食わぬ顔で、

「そんなことがあったかな…」

などと、まだ誤魔化そうとします。それに対してあなたが、

「〇月〇日だけではありません、昨日もそうです。なぜとぼけるんですか?そうやって誤魔化そうと…」

と、無視の事実を誤魔化そうとしていることを非難します。すると上司は、反転攻勢に出てきます。

「とぼける?誤魔化す?私をバカにしているのか、それはいったい、どういうつもりだ?聞き捨てならない発言だ!」

などと無視の事実から問題をすり替えてきます。ここであなたは、「とぼける」「誤魔化す」という発言の是非について弁解のような発言をすると、上司はそれに乗じてさらに攻め立てることは目に見えています。あなたは、あくまでも上司が事実を事実として認めようとしない姿勢を、さらに非難します。

上司が感情的になったら、決してひるまず、毅然と対峙する

上司があなたを感情的に攻め立てたとすれば、これ以上攻め込むな、という上司の悲鳴のようなメッセージでもあることにきがつけば、攻め立てる上司に怯むことなく、毅然と対応することができるのではないでしょうか。

「自分が犯した無視という事実を事実として認めず、逆に私を攻め立てることこそ問題だ!本当に無視をしていないというのであれば、そのとき無視をせずに何をしたのか、はっきりと説明をすべきでしょう。説明ができますか?どうなんですか?」

と切り返したときに、おそらく上司はしばらくだんまりを決め込むか、逆ギレしてその場から衝動的に立ち去るか、そのいずれかではないでしょうか。そのいずれであったとしても、少なくともその状況から、その上司が限りなく「黒」という心証を同席した人事に与えることができたのではないでしょうか。

会社としての対応を見極めること

この後の問題は、この状況を認識した人事が、この無視という問題にどのような決着を付けようとするのか、という人事判断にあります。ここで人事が適切な対応をすることで、事態の収拾に動けばいいのですが、逆に人事が不可解な対応をするようであれば、その真意を問うような問いかけが必要になる場合もあります。

【参考コラム】人事の対応があまりにそっけない理由とは?

具体的な解決についてお考えでしたら、ご相談メールをお送りください(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。

【参考コラム】問題解決のための行動に一歩踏みだす前にお読みいただきたいコラム~解決行動を起こす前に考えるべきこと

Posted by kappa