仲間はずれ
まず問題の状況を具体的に把握すること
仲間外れは、上司などからの嫌がらせよりも、職場の同僚などからの嫌がらせというケースが多いかと思います。それに上司も加わっていることもあるでしょう。問題は、その仲間外れの具体的な内容です。
プライベートの問題であれば会社は解決措置をとらない
例えば、同僚間でのおしゃべりの仲間に入れてもらえない、とか、時々ご相談いただくのは、おやつの時間に自分だけお菓子を配ってもらえない、というものもあります。ただ、これらは職場での出来事とはいえ、業務とは関係のない、いわばプライベートの要素が強いと通常考えられるでしょう。
職場の人間関係に支障をきたす問題として解決を求める
しかし、おしゃべりの仲間に入ろうとしても、それを拒まれるとか、私にもお菓子が欲しいと求めたのにくれない、としても、これを業務上の問題として考えられる範疇のものかどうかという判断をする必要があると思います。ですが、問題が生じている人間関係は、他ならぬ職場の同僚らとの関係において起きているものであって、業務の遂行に支障をきたすような人間関係の破壊行為として解決を求めることで、会社は重い腰を上げる可能性があります。
「お菓子外し」は、お菓子が貰えないことが問題ではない
私だけお菓子を配ってもらえない、というご相談は、お菓子を食べたいのに、私にだけくれない、ということが問題であるかのように説明してしまいがちでもあり、一方で、その相談を聞いた上司などは、「たかがお菓子くらいで」という気持ちになったとしても、不思議ではありません。
「お菓子外し」は仲間外れの問題
そのときに、あなたはお菓子をほかの誰かからもらえればいいとお考えであれば、それはお菓子が貰えないことが問題だったわけですが、大抵の方は、そうではないのではないでしょうか。『お菓子外し」の問題は、仲間はずれ、あるいは、無視の問題として考えなければならないと思います。そのためには、相談時の問題の伝え方にも工夫が必要かもしれません。
【参考コラム】無視
排他的な派閥がある場合
休み時間に、おしゃべりに仲間に入れてもらえない、という程度のどこが問題になるのか、などといぶかる向きもありますが、それが一過性のもので、仲間はずれにされたと感じた一従業員の思い過ごしということも大いにあり得るでしょう。それが恒常的に行われているような場合、いわゆる「派閥」が、業務にも大きな影響を与えているような場合には、一時的な個人的感情による仲間はずれ、と見過ごしていると、その後で起こるであろう大きな問題の前兆を見誤る恐れがあります。
派閥などのグループを背景にした嫌がらせはパワハラとして解決を図る
とくに問題なのは、あなたを職場から排除する意図がある場合、加えてそうした状況に上司が加わっているような場合です。確かに業務上は関係のないプライベートな付き合いの範囲であるとしても、仕事中は常に顔を合わせるわけですし、全く影響がないとは言えません。職場の中での人間関係ですが、派閥ができているとか、排他的なグループがあって、仕事がやりづらい、ということであれば、パワハラの範疇に入るものであり、あなたからこれをパワハラとして解決を求められた会社は、問題として対応せざるを得ないものです。
【参考コラム】同僚からの嫌がらせはパワハラになるか
いかにプライベートの人間関係とはいえ、普段の挨拶にすらあからさまに嫌な顔をされたり、メールで嫌がらせをされたり、あるいは特に問題の大きなLINEに絡むものなど、見過ごすことはできません。職場の人間関係の悪化は業務効率の低下につながり、ひいてはモラルハザードを引き起こします。
【参考コラム】嫌がらせのメール・電話
もっともこれが組織的に行われれうものであったり、上司らが絡むものである場合には、問題は深刻です。業務上の必要な指示もなく、業務上の指示を仰いでも無視される、にもかかわらず、何も仕事をしないなどと叱責されるような場合には、すぐにでも問題として会社に対して解決を求めることです。特に仕事を与えられない、とか、あえて職場の仲間から切り離されたスペースに押し込まれ、業務とは関係のない単純作業を繰り返させられたり、あるいは全く何の業務上の指示をされず、一日中何もすることなない状態に置かれるような場合、これは典型的なパワハラであり、仲間外れというよりは、会社による退職勧奨を意図した「仕事外し」です。
【参考コラム】仕事外し
業務外の職場内での派閥などの問題が、業務上の問題に「直接的には」影響していないとしても、そうした状況を見て見ぬふりをする上司や、こうした状況を容認するかのような職場の雰囲気は、会社の体質そのものです。就労を継続するという選択をする場合には、業務を支障なく遂行するという点のみに割り切って考えることも必要かもしれません。
【参考コラム】パワハラを容認する職場の雰囲気
仲間外れの状況をあなたが問題とせずに放置した場合
仲間外れの常態は、あなたにとって決して気分の良いものではないと思いますが、一方で職場は仕事をする場であって、仲のいい友人を作る場でもなければ、プライベートな人間関係まで考える必要もないと割り切り、仲間外れの状況を放置したまま、仕事についてはするべきこと滞りなくこなすことができたとしても、これが逆にあなたに対する、評価に影響が及ぶ可能性もあります。
協調性がないなどと難癖をつけられる可能性
例えば、周りの状況を考えずにいつも一人で淡々と仕事をしてとか、協調性がない、報連相が徹底できていない、などと人事考課で指摘される可能性があることは容易に想定ができます。
【参考コラム】不公平な人事考課
もっとも、そうした状況で仕事をせざるを得ない立場にあなたを追い込んでいるのは、職場での仲間外れに他ならないわけですが、それを肯定的に受け止めようと、気持ちを切り替えて仕事に注力するあなたに対して、仲間はずれにしただけではへこたれないあなたに対して、協調性がないなどという、いわば言いがかりのような攻撃をした、これが真意ではないでしょうか。
自分がいじめのターゲットになっていることを認識すること
では、あなたは職場で、仲間はずれにあって気分が沈んでいるという景色を周りににおわせれば、そのような攻撃を受けずに済むか、と言えばそうとも言えないでしょう。あなたを仲間外れにする目的は、あなたの排除であり、あるいは、あなたをいじめのターゲットにすることそのものが目的である可能性もあるからです。
そのように考えますと、今の職場で平穏に粛々と仕事だけをするということが、常態として継続できるとは考えづらいのではないでしょうか。
具体的な事実関係を指摘する
仲間外れに合理的な理由などありません。感情的に相容れないあなたに対する嫌がらせが、仲間外れの本質です。この問題の解決は、職場のトラブル全てに言えることですが、解決を求め続ける根気の有無にかかっています。
「気のせいでしょ」「あなたが気にしすぎ」という誤魔化しの反論の盲点を突く
ですが、仲間外れという、どちらかというと感情的であり主観的な判断になりかねないトラブルは、解決を求めた場合に、「気のせいでしょ」「あなたが気にしすぎなんじゃないですか」「聞き取りをしましたが、そのような事実はありませんでした」という回答がある可能性が濃厚です。それどころか、逆にあなたに対して「話しかけづらい」「なんだか怖いオーラを出している」「ちょっと近づけない」などと、むしろあなたに問題があるかのような指摘がこれでもかと出てくることも考えられます。ですが、こうした指摘は具体的な事実関係をあいまいにしたままのやり取りになっていることに気が付けは、突破口は容易に見つかります。
具体的な事実の指摘をすることがポイント
ここで重要なことは、具体的な事実を指摘して「そのような嫌がらせは止めて欲しい」「嫌がらせを止めるよう指導して欲しい」とお求めになることです。ここでのポイントは、具体的な事実関係を指摘する、ということです。いつ、どこで、だれが、どのような状況で、何をした、何をいった、という事実を指摘することです。そしてその事実は、その事実自体が仲間外れの状況を端的に示すものであれば、ベストでしょう。具体的な事実関係を指摘することで、主観的抽象的なあなたに対する攻撃の余地を与えず、それは事実ではない、という反論しかできない状況に追い込むことです。
事実の否定に対しては、そうした事実はあってはならないという認識があることを明言している、という理屈にすり替える
仲間外れである状況をあからさまにする事実について、その相手方当事者がその事実を認めなかった場合、たいていは認めないと思われますが、その場合には、「そうした事実は一切ありませんし、今後もそうしたことはあり得ません」「万が一そうした事実があった場合には、厳しい処分も甘んじて受けます」などという言質を得ればいいのです。つまり、事実を否定することは、再発防止を約束するものに転嫁できるものである、ということです。このようにして根気よく外堀を埋めていけば、仲間外れの状況を作り辛くなってきます。ここで相手はあきらめるか、あるいは別の嫌がらせを始めるのか、これは相手次第かと思います。
具体的な状況に応じた対応方法については、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。