パワハラとは何か

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「パワハラ」という言葉の意味は?
~問題を解決するという視点で「パワハラとは何か」を考える~

「セクハラ」とは、決定的に違うもの・・・

セクハラは法的にも会社が取るべき対応などが規定され、解釈が確立された用語になっていますが、パワハラの定義は対照的にきわめて抽象的です。それはセクハラとは全く性格の異なるものだからではないかと考えます。セクハラは、性という絶対的な違いを原因とする、いわば差別的な行為ですから、その行為そのものが問題となります。一方で、パワハラについてはどうでしょう か?

一方、パワハラとは・・・

セクハラは、性という絶対的なものを原因とする嫌がらせ行為ですが、パワハラの原因はきわめて主観的抽象的です。それは、職場での地位、立場の違いを原因 とする嫌がらせですから、相対的なものとも言えます。業務上の注意指導との線引きが難しいという指摘もありますが、これはパワハラの特徴で、セクハラではありえないことです。

また、立場の強い部下から上司に対するパワハラも存在すると解釈する場合もありますから、こうなってくる と、具体的に誰から誰に対する行為なのかを定義することはできません。このように、パワハラを定義するには、その態様があまりに多すぎる、カバーする範囲 が広すぎるのです。ややもすると、職場の不満はすべてパワハラ的要素を含むことになってしまいます。

パワハラを主張する効果

パワハラは、典型的には上司から部下に対するいじめ嫌がらせ行為ですが、この行為がパワハラであると主張することで、何が得られるのでしょうか。今後法律として予定されているパワハラ禁止規定に該当すれば、行政による解決制度の活用が可能になってきます。

また、その行為が「不法行為」に該当すれば、損害賠償請求が認められることになります。つまりパワハラを主張することは、不法行為の存在確認を求めることにほかならないでしょう。

パワハラに該当する言動を会社は止めさせる義務がある

上記の繰り返しになりますが、パワハラ否認規定に該当すれば、行政による解決制度の活用によって解決を図ることができる可能性があります。

また、パワハラ防止規程などでパワハラの定義を独自に行っている場合には、その定義に該当すればパワハラであるということができるわけです。しかしここでパワハラと判断できたこともをもって何らかの要求 ができるわけではなく、その規程によって何らかの処分が定められている場合には、所定の手続に従って、「会社が」パワハラ行為者に対して何らかの処分をする可能性もあるでしょう。

また、会社がパワハラに対する防止措置に関する指針などに沿った対応を取っていないような場合には、その指針を根拠に、会社に対して適切な対応を取るよう求めることは可能と考えられます。

「パワハラ」を主張することは、慰謝料請求をすることと同じ!?

こうした場合、これまでの会社側の返答は、たいてい「調査の結果、パワハラは無かった」というものです。この段階でパワハラがあったとか、パワハラが無かったなどの議論をすること は、何の問題解決にも結び付かないだけでなく、不毛な議論の末に、トラブルを感情的にさせるだけです。問題の事実関係を客観的具体的に指摘し、それに対する解決を求めることでスムーズな解決に結びつく場合でも、その問題がパワハラかどうか、という議論になったとたんに話し合いが決裂することもあります。問題が解決のための話し合いなどの俎上にのった段階では、パワハラという言葉は、もはや不要、というより、かえって邪魔な存在にもなりかねないものでした。

しかし、パワハラ否認規定が法律として明文化されれば、会社に恣意的な判断を挟む余地は無くなります。

一方で、なぜ会社はパワハラを認めたがらないのか、それは「パワハラ」を認めることは、民法の利益侵害行為である不法行為を認めたことになり、それにセットで伴う慰謝料請求も認めざるを得なくなる、と考えるからです。つまり、最終的には訴訟によってパワハラの有無=不法行為の有無を判断と、それに伴う、慰謝料請求の可否が問題となるものだからです。弁護士が「パワハラ」という言葉を使う場合は、まさにそういうことなのです。

しかし、パワハラ否認規定が法律として規定されれば、パワハラに該当することの法的な効力が明確になり、パワハラ行為そのものの停止という本来の解決には大きな前進であることは間違いないと考えます。

いずれにしても、問題を解決するのは、具体的な解決行動であって、パワハラかどうかの判断を、問題の解決にどう使うのか、という視点が不可欠です。

「パワハラ」は職場の不満を表現するシンボル

現状では、パワハラという言葉に託して、仕事上の不満を表現することができる、という意味が大きいように感じます。つまり問題提議のきっかけとし ての役割が大きいのではないでしょうか。パワハラの有無云々よりも、パワハラという言葉を有効に活用して、直面する問題を解決できれば、それに越したこと はないのです。その際には、厚労省の報告書「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告について」(厚労省 website http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000021i2v.html)をうまく利用すれば、より効果的でしょう。

ただし、会社にとっては深刻な意味がある

一方で、会社の視点から、このパワハラという言葉を考えた場合には、労務リスク管理としてとても重要な意味があります。法的な解決のプロセスでは、上記の とおりですが、それ以上に社会的な影響が大きいものです。近年盛んに耳にする「ブラック企業」という文言も、これも法的な意味というよりは、劣悪な環境下で仕事をさせる会社というイメージによる社会的なダメージが大きいのと同様、会社にとって、ひどいパワハラがあったなどのイメージが先行すれば、やはり社 会的なダメージは避けられません。そして恐ろしいことは、そうしたイメージが一旦広まれば、それを払しょくするのは容易ではないことです。それはマスコミ を賑わす身近な企業についてお考えになれば、すぐに想像がつくと思います。いかに些細なパワハラ申告や相談といえども、会社はそれに丁寧に対応すること が、こうした意味でも重要です。

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