やる気のない上司・仕事をしない上司

2023年10月4日

まず、何が問題なのかを考えることで、現状を客観的に把握する

この問題は、部下の不幸としか言いようがありません。もっとも上司にやる気がないと、部下も楽ができるという面はあるのかもしれませんが、会社としては由々しき問題です。逆に言えば、こうした状況を会社が問題視して、解決を図ろうとしない限り、部下の立場からは何も言うことができません。つまり、会社が、それでいいのだ、と判断しているのであれば、仕事もその程度でいい、ということになります。

都合の悪いことは部下に押し付ける上司

業務指示は上司の権限ですが、それが上司の業務命令であったとしても、自分はいつも楽な仕事ばかりしていて、面倒な仕事は部下に押し付けるような場合、部下の立場としては腹に据えかねるものがありますが、業務命令権限が上司にある以上、これを法的に問題とすることは難しそうです。すべき業務が山積にしているにもかかわらず、それらを部下に丸投げして早々に帰宅するような上司や、自分と馬の合うスタッフとしか同じシフトを組まないような上司は、管理職としての自覚、責任意識の問題であって、会社がそうした上司の対応を把握しているのか、どう判断しているのか、という点が問題解決を考える上で重要な要素かと思われます。

【参考コラム】自覚のない上司、勘違いをする店長

ですが、あなたに対する業務上の負担に公正さを欠く場合や、不公平なシフト編成などもその一つかと思いますが、そうした問題については、不適切な業務命令として、問題として解決を図る必要があります。上司が仕事をしないことを問題しても、会社には何も応じてもらえないからです。

【参考コラム】過重な業務量、無理なノルマ

プライベートに積極的に関わろうとする上司

ただ仕事ができないだけならまだしも、部下にとってより問題が大きいのは、仕事はしないのに、従業員のプライベートに入り込んで来たり、職場内での派閥、グループ作りには積極的という管理職です。不要な対応は、職場での立場を悪くするのではという思いから、不承不承そうした理不尽な指示に従うこともあるかもしれません。しかし上司は、あくまでも業務上の上司であって、業務外ではなんら指揮命令ができる権限はありません。

【参考コラム】仲間外れ

とはいうものの、業務外の問題について、会社人事が積極的に解決にかかわるとは考えづらいことから、やはり客観的に問題がある言動を指摘してその点に絞って解決をお求めになることが懸命かもしれません。上記の例でいえば、例えば、プライベートに踏み込むことは業務とは無関係であり、プライバシーの問題に抵触すること、しかもその行為者が上司であれば、業務上の地位を利用した権利濫用という側面もあろうかと思います。

仕事はしないのに暴言ばかり吐く上司

仕事をしないのに、いわゆるパワハラに該当するような言動が頻繁であるような場合に、問題解決を第三者に求める際に注意すべきことは、パワハラの言動よりも、仕事をしないことについての事実関係の説明に重点が移らないようにすることです。それは、問題の焦点がずれることで肝心のパワハラの言動の解決に至らないだけでなく、仕事をしないことについての指摘が多くなると、そうした説明を聞いている会社側の相談窓口担当者は、問題の上司に対して嫌悪感を持っていることが原因と受け止められかねません。あくまでも暴言を辞めるよう求めることが重要でしょう。

【参考コラム】上司や同僚の暴言

自分の仕事に対する悪影響を具体的に考えることで、問題解決の方向性を見極める

とはいうものの、やる気のない上司が原因で、自分の仕事に支障が出るのであれば、それが自分の評価に影響することになってしまいます。そうした支障を取り除いてもらえるよう、対処を求めることも、この問題の一つの解決方法になります。

【参考コラム】不公平な人事考課

ただ、やる気のない上司に腹立たしく感じているあなたの最も大きな関心事は、なんとか上司にしっかりとした仕事をしてもらうこととか、別の上司に変えてもらうこと、あるいは自分の異動などかもしれません。ただこうした希望は、申し入れをすること自体はやぶさかではありませんが、結局のところ、会社の人事権の範疇であり、会社の裁量に任せるほかありません。

上司の批判ではなく、事態の改善を求めること

仕事をしないで一日中スマホをいじっているとか、パソコンの陰で居眠りをしているとか、ダメ上司のアラが見えて仕方がないとしても、ことさらに上司のこのような怠惰な様子ばかりが気になって、人事に改善を求める際にも、ついついこうした上司の仕事をしないことに対する不満が感情的に吹き出してしまうかもしれませんが、このような説明ばかりになってしまうと、問題の解決ではなく、ただ単に上司に対する不平不満の愚痴をこぼしに来ただけ、という結果になってしまう可能性があります。

あなたが受ける被害の救済を求めること

上司の怠惰な仕事ぶりの説明は最小限にして、そうした仕事によって、業務にどのような支障をきたしているのか、悪影響を及ぼしているのか、その結果成果も、この上司になってからこんなに下がっている、などの具体的な影響を示すことができれば、どんなに腰の重い人事だったとしても、動かざるを得なくなります。大切なことは、上司の不満を告げることではなく、事態の改善にあることを、強く認識することが何よりも重要ではないでしょうか。

上司の業務に係る問題は、上司自身の問題

上司の管理職としての能力不足は、その上司の評価の問題であって、仮にその上司の業務上の指示に問題があって、業務遂行に支障をきたしたとしても、その責任はその上司が負うものであって、あなたのうかがい知るところではありません。

上司の業務指示の影響で、あなたの評価が下がる場合

ですが問題は、あなた自身の人事考課の際に、その能力不足の上司に足を引っ張られる可能性がゼロではないことです。例えばあなたと同じ職位の同僚は、人事考課の際に、おそらくはあなたと同じ評価基準で評価されることになるかと思いますが、その際に、あなたの上司の不適切な業務指示、業務上の判断のために、あなた自身の業務の進捗が著しく遅くなるような場合には、これは業務上の責任はその上司にあるとしても、あなた自身の人事考課では、あなたのパフォーマンスがその対象となるため、そのとばっちりを食うことになる可能性がある、ということです。

つまり、あなたの同僚が1から10までのタスクをこなしているところ、あなたは上司の不適切な指示によって1から7,あるいは1から5までのタスクしかできなかったとすれば、これはあなたの評価にとって大きなダメージです。その同僚と比べれば一目瞭然、見劣りがするのはどうしても否めません。

このような結果は、上司の裁量に従ったものであって、考課権者に対して、その背景にある事情を理解してもらう必要があることになります。例えばあなたとしては、10までのタスクをこなすつもりでいたところ、上司から7まででいい、8以降については取り組むな、と指示されていたとか、そうした特殊事情を知ってもらう必要があるということです。

具体的なアドバイスが欲しい方は、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。

【参考コラム】問題解決のための行動に一歩踏みだす前にお読みいただきたいコラム~解決行動を起こす前に考えるべきこと

Posted by kappa