パワハラを容認する職場の雰囲気
職場の認識で問題の解釈が変わることは無い
上司が怒鳴るのは日常的で、執拗な叱責や暴言も珍しくなく、かと言って、誰かが問題視する訳でもなく、淡々と何事もなかったかのように業務がすすんでいくような職場では、問題意識が生まれる余地すら無さそうです。
だからといって、パワハラの問題が無いわけではありません。問題を解決しようとしなければ、徐々にこうした職場に変わっていく、ということです。職場の雰囲気がパワハラを容認するようなものであったとしても、いわゆるパワハラに該当する言動が認められるものではありません。
会社がパワハラを容認していることを裏付ける事実をつかむこと
個別具体的なパワハラに該当するような言動が日常的に発せられているようであれば、職場、あるいは会社全体として、そうした言動に問題意識を持たないとしても、まずは社内的な問題提起をすることは大切でしょう。それによって会社が何ら解決措置を取らなかったならば、その事実は、そうした問題となる言動について、会社が容認していることを示す重要な事実となります。
まずはパワハラの解決を会社に求めるというステップが必要
会社がパワハラを容認していると判断せざるを得ない裏付けの事実を得るには、まずはパワハラに対する解決を会社側に求めることが重要になってきます。これは会社に問題解決をしてもらうことが目的なのではなく、会社に問題解決をする意思がないことを客観的な事実として示すためのものです。ですので、もちろん会社がそれに対して解決のための対応をすればそれに越したことはありませんし、やはり想定通り会社は放置黙認を決め込み、何も対応しないとすれば、その何も対応しないという事実こそ、まさに会社によるパワハラ容認の裏付けとなる事実になります。
このように、職場や会社が、パワハラに対して問題意識を持たない場合には、社内的な解決が図れないという上記のような事実を根拠に、会社外の解決制度の活用を検討することになります。具体的には、パワハラ防止法違反を指摘して解決制度を活用する、ということです。
【参考コラム】社内的な解決に限界を感じたら
乱暴な言葉が飛び交う職場はパワハラ職場か?
とは一概には言えないでしょう。仕事に対して厳しさが求められる職場であるばあい、穏やかな優しい言葉かけでは用をなさない場合もあるでしょう。特に危険と隣り合わせのような現場で、こんなことを言ったらパワハラになるなどと躊躇している間に事故が起きたのでは、まさに本末転倒です。職場内での言動が多少乱暴であったとしても、職場内の人間関係が良好であれば、パワハラと判断されるような余地は少ないのではないでしょうか。
パワハラ容認の職場の雰囲気を変えるのは至難の業
根本的な問題であって、その解決こそ必要なものですが、そもそもそうした雰囲気は一朝一夕に出来上がったものではなく、これまでの長年の積み重ねの中で出来上がったものであれば、また、会社の規模が大きければ、それを変えるのは、トップのリーダーシップによってドラスティックな変更をしない限り、とにかく時間のかかる問題でしょう。これまで当たり前と思ってきた意識を急に変えることは難しいものです。
パワハラを容認する職場はパワハラ防止法違反状態にある
しかしパワハラの言動が繰り返されるなかでも、職場での容認の雰囲気の中では、それを我慢しなければならない、ということではありません。職場の雰囲気がパワハラ容認の中でも、パワハラはパワハラであって、許されないものであることに変わりはありません。パワハラの言動に対しては、個別具体的に、その都度対処することが肝要です。そして何よりも、パワハラの問題への無関心、放置黙認は、パワハラ防止法違反そのものだからです。
個別具体的に対処することが重要
毎度のごとく発せられる上司や先輩からの、業務の必要性をはるかに超える暴言について、あきらめや無感情の職場の雰囲気があったとしても、その暴言については、止めてほしい旨のメッセージを、何らかの形で発信しておきたいところです。
【参考コラム】上司や同僚の暴言
叱責は、何らかのミスや不都合に対する強い注意ですから、そのきっかけとなった何かがあるはずです。その何かが、確かに事実であって、注意を受けても致し方ないものであれば、その点については、確かに受け止めなければなりませんが、業務上必要な注意という範囲を超えての叱責や、業務とは関係のない個人攻撃などについては、その原因となった事実とは別に考えなければなりません。
【参考コラム】叱責の問題
パワハラを容認する職場では、「自分に原因がある」と思ってしまう
パワハラ的な言動に対して、問題意識を持たなくなると、逆にそうした言動のきっかけを作った自分に原因がある、そうした原因があれば、いかなるパワハラ的な言動も甘んじて受け入れなければならない、などという気持ちに陥ってしまうのではないでしょうか。しかも、そうした言動を上司などから受けている間も、職場の同僚らかは、自分が白い目に見られているような気持ちにすらなってきます。こんな状況が続けば、メンタル面での支障が出てきても不思議ではありません。
【参考コラム】ミスが理由であっても、執拗な叱責や暴言が許容される余地はない
パワハラを容認する職場では、自分も加害者になる可能性が高い
パワハラ的な言動に対して、問題意識を持たなくなると、そうした言動が当たり前であるかのような錯覚に陥り、自分が発する言動までも、そうしたパワハラ的な言動に影響されるようになってきます。自分も上司らから当たり前のように図れていた暴言を、今度は自分自身が、無意識のうちにしているようになるのです。問題意識を持たないことは、問題の解決にならないだけでなく、自分が加害者にすらなるおそれがあるということを考えなければなりません。
あなたの行動には必ず共感する人がいます
パワハラ容認の職場で、パワハラを止めさせようとする申し入れは、一見四面楚歌の状況に見えるかもしれませんが、表面上は明確に賛同の気持ちを示さない、あるいは示せないとしても、その解決行動に共感する人が必ずいるのではないでしょうか。パワハラ容認の職場を積極的に受け入れている人はいません。あきらめや、我慢が職場の本音です。ですから、
【参考コラム】「何かおかしい!?」と思っているのは自分だけじゃない
一つの解決行動が状況を変えるきっかけになる
可能性があります。どのような方法が効果的かは、職場の状況に応じて検討する必要があります。まずはご相談のメールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。