ミスが理由であっても、執拗な叱責や暴言が許容される余地はない

2023年10月6日opinion&topics,パワハラかどうかの判断

上司などから叱責をを受けても、自分に原因があるのだから仕方がない、と考える前に、その叱責が数十分以上に及んだり、同僚が業務をする職場内で執拗に行われる場合、それは本当の業務上必要なものかどうか、疑問なものもあります。

注意の仕方は業務上の必要の範囲か?

まず、ミスはミスとして、注意を受けたのであれば、それは素直に受け入れなければならないでしょう。そして、次に同じような間違いを犯さないためにはどうすればいいのか、これを考え、実行することがミスの再発防止であり、まさに業務上必要なものでしょう。

しかし、頭に血がのぼった上司は、犯したミスを執拗に攻め立て、ミスの重大さやあるいは能力不足をことさらに強調することに集中します。これではミスの再発防止ではなく、さらなるミスを誘発するようなものです。

もちろん、いくら注意しても、指導をしても、同じミスを繰り返し、なくそうという努力すらしない部下に対しては、強い「叱責」も必要でしょう。また、再三にわたる注意指導にもかかわらず、何ら改善の余地すらないような場合には、解雇も法的に有効と判断される可能性が高くなります。

このように書くと、「私もそうなるのでは・・・」などと不安になるかもしれませんが、すでにあなたはその点について、ご自身を見つめ直そうとしているのですから、全く心配される必要はないかと思います。

叱責の問題については、こちらのページ(「叱責の問題」)で触れていますが、叱責の程度が問題で、叱責そのものが問題となるわけではありません。もっとも私個人的には、注意指導は必要でも、叱責が業務の改善に資するとは思っていません。パワハラの言動が気になる管理職の方に対しては、叱責をするのを止めてみたらどうかと提案したいと思います。しかし部下の問題などを黙認するのではなく、注意指導を適宜行うことは、絶対に必要なことです。叱責をしないだけで、自分自身も周りも、どれほど気分が良いか、感じることができると思います。

ミスの指摘を超える叱責は、もはやパワハラ

さて、本題ですが、上司の怒りのような叱責で、能力不足をののしり、転職退職を促し、解雇をほのめかされ、性格までも否定され、挙句の果てには家族や友人までも侮辱するに至っては、これはパワハラであって、ミスを理由に何を言われても我慢しなければならないなどと思う必要はさらさらないのです。

ケアレスミスの理由説明の執拗な要求は無視をする

うっかりミスに理由などありません。注意力散漫がその原因としか言いようがありません。あなたは注意力不足に対する反省を述べているのに、それでも上司は執拗に、なぜだ、なぜ注意力散漫になる、とか、注意力不足などと言う言い訳聞きたくない、理由が分かっているのか、反省しているのか、などと執拗に攻撃をしてくるとすれば、それはもうミスに対する再発防止を考えるための注意指導などでは全くなく、その上司が自分の感情をコントロールできなくなっている状況だと冷静に分析をしてください。

執拗な叱責に対しては、まずそこから逃れることを考える

その状況があまりに長時間に及ぶようであれば、あるいはあなたが精神的に苦痛であれば、反論をするのではなく、まずはその場から逃れる方法を考えてください。気分が悪くなったとトイレに駆け込むとか、これ以上の苦痛を受け続けることによるダメージを避ける必要があるからです。

ミスの指摘と、感情的な叱責を分けて考えること

ミスはミスとして、再発防止に努めるとしても、だからといって上司の感情に任せた言動を我慢することはありません。こうしたときには、その問題の言動のみを指摘して、できればその場で問題であること、そうした言動は止めてほしいことを伝えたいところです。

日常的に起こり得るミスで懲戒処分や解雇などありえない

重複しますが、ミスをしたからといって、いかなる叱責や処分などが認められる訳ではない、ということです。特に上司らに離職に追い込みたいような不当な意図がある場合には、些細なミスでも、執拗に指摘し、叱責し、精神的に追い込んできます。こんなときは、絶対に我慢をすべきではありません。

誘発されるミスの連鎖からどう逃れるか

あなたが懸念すべき問題は、執拗なミスの指摘を受けたことで、逆に不安な気持ちを大きくさせられてしまったことから、さらなるミスを連発してしまうことです。これは何とか避けなければならないと思います。その方法はケースバイケースかと思いますが、やむを得ない場合には、しばらく休息をとることも重要な選択肢ではないでしょうか。

適切な判断ができる上司であれば、あなたの行動、申し入れに対して、理解を示すはずです。不用意なミスを繰り返すことは、あなたにとってはもちろん、職場にとっても決して望ましいことではないからです。あなたの勇気ある行動で、あなた自身を守ってください。

ですが、もしあなたの上司が、こうしたあなたの行動に対して、「逃げるのか」「まだ分かっていないのか」「さぼるのはミスと同罪だ」などと、さらにミスをあおるような言葉が投げかけられるとすれば、まだ感情のコントロールができないのか、あるいは、意図的にあなたのミスを誘発しようとしているのか、そのいずれかではないでしょうか。

上司の言動の改善のための働きかけをする

おそらくそのいずれに場合であっても、これ以上この上司と直接やり取りをして、この上司が自らの言動の問題を認識して自発的に言動を改善することは、なかなか期待することが難しいのではないでしょうか。あなた自身も精神的にこのような上司を相手に不毛な議論を繰り返すことは、エネルギーの無駄遣いにしかなりません。この上司に対して注意指導ができる立場の管理職、担当部署や担当者に解決をお求めになることが賢明かと思います。

具体的な対応方法については、こちらからご相談ください(「パワハラ相談窓口」のページ)。

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