問題解決後のフォローこそ重要なパワハラ対策

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問題の事実関係を特定し、その事実に基づいて当事者双方の納得の上で、就業規則所定の処分や、人事上の解決措置を講じたとしても、それで問題のへ対処が終 わるわけではありません。事実関係の特定の過程で、加害者とされた上司、あるいは被害を相談した部下の、いずれかあるいはその双方に、職場での人間関係形 成や、職務遂行に問題があると判断された場合には、その彼ら彼女らは、再び同じトラブルを繰り返す可能性が極めて高いものです。

効果的なパワハラ対策とは…

この段階では、直接的な問題解決ではなく、トラブルの再発を防止するための長期的なフォローが重要になります。実は、これこそが真の未然防止のためのパワハラ対策であって、こちらでも触れていますが、研修によって問題の未然防止が図れるわけではないのです。

本当に必要なパワハラの未然防止対策は、いわゆるトラブルメーカーに対する徹底した教育指導に他な りません。

加害者とされた上司に問題がある場合

この上司にする何らかの処分や人事的な措置で由としたのであれば、次に部下となる従業員が同じトラブルの犠牲になることは容易に想像がつきます。ここで問題なのは、表面上はともかく、トラブルを起こした本人でありながら、その本当の理由や原因がどこにあるのかが理解できないことです。理解できないのですか ら、その本人はパワハラなどどこ吹く風とばかりに、ほとぼりが冷めれば同じことを繰り返します。こうした上司に対しては、根気よく日常的に言動をチェック し、逐一指摘指導教育をする必要があります。理屈ではなく、体で覚えこませる必要があるのです。

かつて注意指導ををしたにもかかわらず、反省の意が見えなかったり、あるいは、やはり同じような言動を繰り返す場合には、懲戒処分の可能性もあることなどを指摘して、禁止された言動をしないよう、十分に牽制をしなければなりません。もしそうした言動がどうしてもついつい出てしまう場合には、できるだけ間髪を入れずに、その都度注意をすることです。繰り返される場合には、始末書、顛末書を提示させ、以降の言動への戒めとします。

継続的な注意指導にもかかわらず、全く状況に変化が無い場合には、人事上の降格措置や、それに伴う減給、あるいは配置転換を検討し、最終的には解雇も視野に入れる必要があるかもしれません。

ペナルティーが状況を悪化させる場合もある

一方で、こうしたプロセスを経ても解雇まで検討せざるを得ない状況に陥るようなケースは、おそらくはこの加害者自身に何らかのメンタル面での問題がある可能性を考える必要があるかもしれません。このような場合には、注意指導などの教育訓練では状況は改善しないと思われれますし、ペナルティーを与えることで状況がさらに悪化することも考えられるため、対応には十分な注意が必要でしょう。改めて本人の特性を確認しながら適材適所をゼロベースで検討する必要もあるのではないでしょうか。

被害者である相談者に問題がある場合

一方で、パワハラを主張する相談者に問題があると思われるケースでは、業務に対する基本的な姿勢や考え方について、改めて考えてもらう機会が必要かと思われます。これも根気のいる作業です。

極めて権利意識の強い部下であれば、業務マニュアルは知らなくても、就業規則はなめるよう確認している可能性があります。業務もしっかりこなすが権利も主張すると言うタイプであれば、責任ある業務を任せることで、すさまじい成果をあげる可能性もありますが、与えられた業務に対する不満を言うだけでさしたる 成果をあげず、権利ばかりを主張するタイプであれば、基本的な従業員としての姿勢を教育しなおす必要があります。これはリスク管理上大切な点で、こうした 教育を地道に行ったにもかかわらず本人の仕事に対する姿勢が改善されないのであれば、その業務上の態度にもよりますが、解雇を合理的と認められる事実ともなりえるものです。

相談者の話が、ちょっとおかしい…?

その一方で、執拗に権利を主張するわけでもなく、一見理路整然と事実関係を説明しているように見えても、何を言いたいのか分からず、話をすればするほど状況が混乱するようなことがあります。同じ状況を何度も繰り返し説明したり、すでに結論がでている問題について、あたかもいまその問題が起きたかのように解決を求めるようなケースもあります。また、いきなり怒りだしたかと思うとすぐに冷静に戻っていたりするため、状況の展開が全く見えないこともあります。

その問題が人間関係の大きな変化、例えば配置転換によって業務内容が大きく変わった場合とか、上司が変わったり、人間関係の微妙な空気を読む必要のある状況に迫られるようなことがきっかけで問題が発生している場合には、人間関係を元に戻すとか、他のスタッフと業務上のかかわりが少ない業務に集中させることで状況が改善する場合があります。

人間関係の変化に順応できていないという自覚が全くないケースも…

特に高度に専門的な業務に従事している従業員の場合には、そうした業務に没頭させることができるような環境を作ってあげることで、大きな成果をあげる可能性もあります。スタッフそれぞれの得手不得手は様々であり、人間関係の変化にうまく順応できないタイプの従業員に対しては、そうした人間関係に煩わされないような環境で仕事ができるような業務をあたえることも一つの解決策です。が、こうした従業員で専門性の高い業務に従事しているような比較的高い資格等級の者は、そうした能力が欠如しているなどとは全く考えていません。自分は常に正しい判断のもとに、正しく業務を遂行している、その何か悪いのか、という姿勢で業務に邁進するようなタイプの場合には、上司や周りのスタッフとも衝突しがちです。プライドも非常に高いので、配転等の人事に際しては、慎重な対応も必要かと思われます。

こうした場合に、上司とうまく人間関係が作れなかったり、業務上の意見の相違があるなどの行き違いの繰り返しから感情的な対立に至っているような状況で、「上司とうまくやれないのであれば転職も考えたらどうだ」、などと三下り半を突きつけるようなことは、トラブルを誘発することになりかねません。

教育訓練でも改善しない場合があることを会社が理解する必要がある

問題の原因である人間関係の構築をうまくできない理由がどこにあるのか、それが例えば、発達障害などのメンタル系の障害である可能性が考えられるような場合には、通常の方法で解決を図ろうとしても、状況は全く進展せず、袋小路に陥ってしまいます。しかしそうした原因はなかなか見極めが困難であり、また、そうした症状に対する会社の理解が不足しているケースも多いかと思います。

話を進めていく中で、どうもおかしい、と感じた場合には、専門医の受診を勧めるなどの対応が望まれます。こうした場合には、当事者である本人も、その原因が分からないために、職場の中で苦しい思いをしているので、その原因が分かり、その対処方法が分かれば、本人自身も、その後は自信を持って業務に集中できるようになるのではないでしょうか。まずは会社がこうした症状に対して理解を深めることが大切かと思います。

パワハラの根本的な原因はコミュニケーションの欠如

パワハラは、会社が特定の従業員を排除することを意図して行うような場合(もちろん許されないものです!)を除いて、当事者間の感情的なすれ違いがそのトラブルの発端ではないでしょうか。その感情的なすれ違いはなぜ起こるのか、これがパワハラが起きる要因といえるものかと思います。

感情的なすれ違いや違和感、もっと進んで不快感につながる場合、その相手を忌避しようとする感情は誰でも生まれるものかと思います。そうした場合に、相手の雰囲気や言動から、トラブルを避けるためにはどうすればいいのか、たいていの人は自分の言動を考えると思われます。

しかし一方で、自分の意見を押し付けることしか考えない上司や、すれ違っている状況を読めずに、自分の言動を顧みることができない部下が、こうしたトラブルを深刻化させるような場合には、彼ら彼女らには、人間関係を平穏に構築することを全く考えていないか、あるいは人間関係面での能力が不足しているのですから、そうした点を補うような研修をしたり、他のスタッフと業務上関わらないような業務に就かせることも考えるべきかと思います。

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