過重な業務量、無理なノルマ
問題は、目標設定の仕方にある
営業職などでは、何らかの目標設定がなされることは業務の性質上当然とも言えますので、ノルマや目標の設定がされること自体が問題となる余地はありません。問題は、そのノルマや目標が適切なものかどうか、そうしたノルマや目標が適切に運用されているのかどうか、というものです。
あるいはあなたの職場の中で、なぜがあなただけが業務負担が大きく、長時間の残業を強いられている、という状況は、業務配分の仕方に問題があると考えられないでしょうか、それが上司の判断ミスであったとすれば、それを指摘をすれば改善されるものでしょう。ところか、あなたに対する嫌がらせを意図して、恣意的にあなたの業務量を過重にしていたとすれば、問題は全く違ったものになります。
【参照コラム】上司の命令は絶対ではない…!?
ノルマ、目標が過大すぎる場合
当初は何とか達成できると思っていたとしても、実際に取り組んでみると、なかなか難しいとことが分かってきた場合、その状況を早く上司に伝えることです。目標設定の過程で、自分自身の意思が反映されているような場合には、無責任のそしりを受けかねませんが、かといって達成の不可能が分かっていながら、結論がでるまで何ら対応策を講じなければ、あとで大きな問題が生じることにならないでしょうか。会社から与えられた目標が達成不可能であれば、その旨を伝えることです。
それに対して、会社はどう判断するのか。あなたの立場にもよるところが大きいかと思いますが、できるところまでやってみろ、ということになるのか、目標を修正するのか、いずれにしても実際の状況を伝えておくことが重要でしょう。
目標設定時に適切な判断がなされていたのか…
目標の修正を求めることは、一方で、自分の能力が足りないことを明言するすることでもあり、そうした申し入れは憚られるかもしれませんが、そもそも目標設定時に、適切な判断がなされていたのか、という問題になるのではないでしょうか。達成できる目標だったのか、頑張っても達成できないことが明白な目標だったのか…もし、頑張っても達成できないことが明白な目標を設定されたのであれば、あなたがそれを積極的に望んでいたのではない限り、次のような意図があるのかもしれません。
未達成のペナルティーに隠された意図
その業務が、指定された時間内に完了することが極めて困難であることが分かっていながら、時間内での業務の完了を命じられたとすれば…それに加えて、完了できなかった場合のペナルティーがあったとすれば、そのペナルティーを課すことを、当初から意図していた可能性が考えられないでしょうか。
できないことが明らかな業務指示をするという嫌がらせ
あるいは、とても所定時間内に終了しないような業務負担の大きな業務の遂行を命じておきながら、所定時間内に業務を終了できなかったという結果について、職場の同僚らがいる中でわざわざ執拗に攻め立てるような言動は、あなたを精神的に追い込むことを意図した嫌がらせ以外の何物でもありません。
退職勧奨に応じなかったことへの報復か
例えば、退職勧奨や配置転換などに応じない従業員に対して、目標達成が出来なかった場合は、退職する、とか、いかなる降格や配転などにも応じる旨の念書に、あらかじめサインをさせられていたとすれば、退職勧奨や、配置転換に応じさせることを意図して、最初から達成不可能な目標を設定した可能性もあります。
これは未達成の状況を意図的に作り出し、強引に退職勧奨にに応じさせるための計画的なものだったことは容易に推測ができます。
【参考コラム】退職勧奨を意図したPIPはまさにパワハラそのもの
こうした過重な業務負担や過大な目標設定に対して、業務が完遂できず、あるいは目標未達成の場合に、職場の中で公然と執拗な叱責や暴言などが繰り返されれば、自主的な退職に追い込まれるような状況も伴いやすいため、あなたを排除したい意向を持つ上司が感情的にこうした方法を安易に選択している可能性もあるのではないでしょうか。。
業務命令があった時に、問題をはっきりと指摘する
これらの問題は、そもそもそうした業務命令自体に問題があるので、業務命令が発せられた時点で、その内容に問題があることをはっきりと指摘することや、念書にサインなどはしないといった対応が大切になってきます。
自分だけに過重な業務負担、無理なノルマが…
いつもあなたにだけ業務負担が大きいとすれば、これは明らかにおかしな状況でしょう。職場全体で過重な業務負担、無理なノルマが課せられているということであれば、これは経営判断の問題であり、会社全体としての問題という視点から事態の打開を考えなければなりませんが、あなた一人だけが…という場合、その前に、なぜあなた一人だけなのか、その合理的な説明が必要になります。あなたが納得できるような説明があるかどうか、ということです。
問題として考える前に、業務負担の大きさを客観的に整理してみる
業務量を明確に数字に表すことができる場合であれば、一目瞭然ですが、例えば作業内容によって業務の困難さや煩雑さといった要素をどう客観的にとらえるのか、という難しい課題もありますが、このあたりの議論を深堀しても、おそらくは袋小路に入り込んでしまう可能性があります。そのような可能性がある場合には、シンプルに労働時間でお考えになればと思います。
あなただけが負担を抱えなければならない合理的な理由はあるか?
たとえば、あなたが抱える、担当する業務の進捗が遅れていて、しかもあなたにしかできないような業務であるとすれば、過重な業務量の指示にも、一定の理由がある可能性もあります。ですが、こうした場合でも、過重な業務負担を課すような命令が無条件で許容できるものではなく、長時間労働やましてやサービス残業を示唆するようなものであってはならない訳で、その過重労働の実態を緩和するような何らかの対応が、職場として、会社として講じられるべき状況であることに変わりはありません。
過重な業務負担を強いる前に、業務に関する説明はあったか?
ですから、仮にあなたが受け入れざるを得ないような理由説明があったとしても、だからと言ってあなた一人がその業務の犠牲になり、心身を害されるような労働環境を受け入れる必要はありません。そもそも、そのような無理がある業務指示をする前に、あなたに対して、本来であれば説明や業務遂行にあたっての配慮があってしかるべきところ、それが無かったということは、そうした従業員へのケアに無頓着な組織、会社であるという側面の一端が見えた、とは言えるのではないでしょうか。
納得のできない理由説明
つまり理由説明の内容から、なぜあなた一人に対してだけ、このような過酷な業務が命じられるのか、合理的な説明が得られなかった、という場合です。
「これはあなたのこれまでの失態をカバーできるかどうかの課題です」
これではまるで懲戒処分です。これまでの失態とは、いったい何なのか、これがあなただけにことさらに問題視されるような事実で、他のスタッフが同じことをしたとしても何もお咎めもないようなものであるとすれば、これはあなたに対する嫌がらせと言っていいでしょう。
「お前は仕事ができないんだから、そのつけがたまってるんだよ」
仮にあなたが、他のスタッフよりも仕事の進め方がいくらか遅れることがあるとしても、だからと言って過重労働のような業務命令が許容される余地はありません。あなたの能力にあった業務を、適切に配分する必要があるのです。
上司の意図は、あなたに対する嫌がらせ
ですが、本当にあなただけが仕事ができないといった具体的な事実があるのでしょうか。上司に対して具体的な指摘を求める必要がありますが、そうした指摘は、すでに業務中になされるべきであり、その段階で改善指導があってしかるべきものです。にもかかわらず、嫌がらせの業務命令を正当化するための後付けの能力不足の指摘に、具体的な事実の裏付けなど、あるはずがありません。
事前に説明がないことは、嫌がらせの意図が強く伺われる決定的な事実
百歩譲って、本当にあなたに対して、教育指導とか、リカバリーのチャンスを与えられているのであれば、そうした状況を事前にあなたに対して説明がなければなりません。なぜあなたが不信感を持つような状況を作っておいて、あなたに求められて初めて言い訳のような理由説明をするのか…「つい、うっかり」などと言うものではないでしょう。そのように考えれば、この業務命令の真の目的は、あなたを精神的な苦痛を与えることにある、とお考えになることが妥当ではないでしょうか。
具体的な対応については、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。対処方法やその考え方などをコメントして返信いたします。