問題解決への具体的なアクション

2023年10月3日

あなたが問題意識を持っているという意思表示が必要不可欠

当たり前ですが、自分がどのようなパワハラ行為を受けているのか、それに対してどうして欲しいのか、これを伝えることが重要です。こうした意思表示がなけ れば、問題があることすらわかってもらえないかもしれませんし、うがった見方をすれば、「知らなかった」と会社に言われる余地を与えることになりまねませ ん。問題はその伝え方です。

誰に問題解決を求めるか?

できれば、まずはパワハラ加害者である本人に対して、その行為をやめてほしいことを直接話したいところですが、状況によるところが大きいでしょう。逆に、 加害者に対して直接話すことを避けるべきと一律に考えるべきでもないと思います。加害者本人の知らないところで、いきなり人事などに相談を持ち掛けたことに よって、加害者との人間関係をより一層悪化させることもありえるからです。直接本人にではなくとも、ワンクッションを置くという配慮も必要かと思います。 しかし、繰り返しになりますが、状況次第なのです。答えは「問題解決」というキーワードにあります。

問題解決につながるのか、が判断のポイント

ですが、相手方当事者、あなたからすれば加害者になる訳ですが、すでに信頼関係が損なわれているなど、まともなやり取りが困難とお考えになる場合には、この加害者を相手にしないという対応が賢明かと思います。

【参考コラム】パワハラ加害者と正面から議論をしてはいけない

問題解決を求める場合は、まず直接話すのがベスト

あなたが選択した相談相手に、どう伝えるかですが、言うまでもなく直接面と向かって話をすることです。どうしても時間が取れないような場合でも、少なくと も電話で、声によるコミュニケーションをとってください。こうしたデリケートな話は、誤解の生じやすいメールはご法度です。メールでは、直接話す日時の確 認、アポ、程度に留めておいて下さい。これが問題解決行動の第一段階であれば、あまり刺激的な手法をとることは賢明ではないでしょう。特にあなたがこのままこの会社で雇用の継続をお考えであればなおさら、ソフトな対応を心がけておいて間違いはありません。

稀ですが、いきなり内容証明郵便・・・!?

パワハラの問題解決の第一は、パワハラ被害をなくすることですから、加害者がそうした行為をやめることや、加害者からの隔離が、その対応となるはずです。 内容証明は、意思表示の事実を残すことにその目的があります。つまり相手とのコミュニケーションができないような場合や、法的な解決を視野に入れた場合に 使うべきものです。その内容にもよりますが、極めてインパクトの強い意思表示となります。これによって一気に問題解決に向かうこともあるかも知れません が、よほど慎重に取り扱わない限り、関係悪化だけでなく、問題解決から遠のく恐れも多分あるのです。

相談したのに、会社は何もしてくれない・・・?

会社は社員からの話に、真摯に向き合って欲しいものですが、こちらの伝える内容が、その意図がはっきりと伝わらなければ、「ただの愚痴、不平」ととられか ねません。業務上の報告、連絡は、簡潔明瞭であることが必要不可欠です。当然、こうした問題についての報告もそうあるべきでしょう。

【参考コラム】人事の対応があまりにそっけない理由は?

どうすれば会社は真剣に受け止めるか?

今こういう問題があって、その問題解決のために会社はこうして欲しい・・・例えは不適切かもしれませんが、誤解を恐れずに表現すれば、企画提案と一緒で す。会社に対するプレゼンを効果的に行えば、会社は動かざるをえなくなります。それはパワハラという行為は人の身に降りかかるものだからです。パワハラに ついての認識が低い会社に対しては、「我慢しろ」という姿勢が、いかにリスクを含んだものであるのかを理解してもらう必要があります。

【参考コラム】なぜ問題は解決しないのか?その原因は3つ

ポイントは2つ

パワハラ問題を社内的に解決するためには、まず会社側への相談というステップを踏むことになりますが、そのときに、「ただの愚痴、不平」ととられないため にも、具体的な事実を報告することは最低でも必要です。そして、そうした具体的な事実が、会社にとって極めて由々しき事態であると認識してもらう十分なも のである必要があります。

「著しく精神的、肉体的苦痛を受けている」

パワハラ行為の具体的な事実を報告し、それが如何に自分とって苦痛であるかを伝える必要があります。これはとても大切なポイントで、事実を伝えるだけで は、「そんなことは、たいしたことではない」と思われてしまうかもしれません。表現方法は工夫の余地がありますが、いずれにしても、苦痛を受けている、苦 痛に感じていることを分かってもらわなければなりません。これを無視した場合、会社は安全配慮義務の不履行を問われることになるのです。つまり、会社が解 決のための行動をとらざるをえない理由を与えることになります。

「業務の円滑な遂行に著しい支障をきたしている」

パワハラによって、苦痛を受けていれば、当然仕事にも影響が出ます。ケアレスミスも増える原因です。この当たり前のことをあえて伝えることが大切です。仕 事に影響があるということになれば、相談にも重みが出てきます。ちょっといやらしいのですが、この問題解決について、積極的に会社側との利害が一致してい ることを暗に主張することになり、会社も対応をとりやすくなる大義名分となります。

微妙なニュアンスに注意

ただし、この「著しく精神的、肉体的苦痛を受けている」「業務の円滑な遂行に著しい支障をきたしている」という表現は、きわめてインパクトのあるもので す。それは言下に損害賠償請求といった、法的解決を強くイメージさせるものだからです。大切なことは問題解決であって、会社にケンカを売ることではありま せん。状況に応じて、ご自分の意思がうまく伝わるような表現を工夫する必要があるでしょう。

余計なことは言わない

具体的な事実を明確に伝えることはとても大切なことですが、それはそうした事実が、上述の2つの主張ポイントに結びつくものである必要があります。パワハ ラ行為以外にも、言いたいことはあるかも知れません。上司はいつもネットをみているばかりでちっとも仕事をしないとか、気にいった社員とおしゃべりばかり しているとか、いつも横柄な態度が気に入らないとか・・・こうした指摘が多くなると、ポイントがずれるだけでなく、ただ上司のことが嫌いなのだろうと受け 取られかねません。個人間の感情のもつれが原因となれば、会社は解決行動に慎重にならざるを得ません。

【参考コラム】やる気のない上司、仕事をしない上司

誤解を生みやすい「パワハラ」という言葉の使い方

パワハラという言葉が一般的に使われるようになり、またその重要性も認識され始めていますが、まだまだ誤解も多いのが現実です。パワハラという言葉を使っ た途端に、すべてを否定されることもあるようです。パワハラについての認識や事実関係が明らかである場合には問題は少ないかもしれませんが、具体的な事実 をくわしく報告することと、その結論として上で上げた二つのポイントにまとめれば、それで十分です。

【参考コラム】「それはパワハラには該当しないと判断しました」って、どういうこと!?

ですが、あえてパワハラという言葉を使うことで、会社はあなたの相談、解決要請に対応する義務があることになります。つまり、パワハラ、とあなたから言われた会社は、何を対応しない訳にはいかないという法的な制約がありますので、あくまでも、会社に対応させることのみを目的に「パワハラ」という言葉をお使いになることが賢明かと思います。つまり、問題解決のためのあくまでもツールとして「パワハラ」という言葉をあえて使う、ということです。

【参考コラム】「パワハラ」という言葉の正しい使い方

解決行動の第一ステップ

問題がある場合、それを解決すべく即座に行動することが肝要です。パワハラはまず、問題を公然化させることです。とくに密室などで陰湿に行われるものは、それを公にすることだけで解決する場合もあります。密室で行われるような陰湿なパワハラは、その加害者は密室の中でしかパワハラができない、表面的には優秀な社員とみられていることも多々あります。そうした優等生がパワハラ加害者であることが公になることは、ある意味で耐えがたいものであるに違いありません。

【参考コラム】解決行動を起こすにあたっての職場内の同僚との関係をどう考えるかについてのコラム~「何かおかしい!?」と思っているのは自分だけじゃない

問題を公然化する

問題は、どのように公然化させるか、その方法です。平穏な解決を目指すためには、解決力のある特定の上司などだけに、事実関係の説明をすることが肝要でしょう。そこで、次の段階として大切になってくるのは、その問題解決能力のある上司に対して、問題の事実関係、そしてその重大さをどう伝えるか、という問題です。ここでのポイントは、あくまでも事実関係のみを具体的、客観的に伝えるにとどめることです。つまり、誰が、いつ、どんな言動をしたのか、というものです。ただ単に、パワハラがあった、とか、誹謗中傷があった、だけでは、感情的に文句を言っているとしか聞こえません。それに加えてパワハラ加害者を忌避するようなことを話せば、おそらく第三者は、これは個人的な感情のもつれか、としか思ってもらえません。余計な形容詞は不要です。

会社に対して解決を求める

パワハラの問題について解決能力があると思われる担当部署、担当者に対して、具体的な事実関係を説明してだけで解決のための何らかの働きかけをしてもらえる場合もあるかもしれませんが、いわゆる「相談」として問題を聞いてもらることに終始してしまうことも往々にしてあります。この「相談」を持ち掛けられた担当者は、あなたの話を聞くことで問題が解決したと解釈しているかもしれません。あるいは説明した事実関係について、問題としての重要性を理解してもらえない、ということもあるでしょう。あなたとしては、会社に何らかの解決のための具体的な行動を起こしてもらわなければならない訳ですから、はっきりと「解決してほしい」「助けてほしい」というメッセージを発信しなければなりません。

実効性のある解決策を求める

事実関係を確認した上で、会社は何らかの解決のための対応をすると思われますが、その対応策、解決策が十分な効果を持たない場合があります。その場合には、すでに対応済みの解決策な根本的な状況の改善になっていないことを指摘したうえで、実効性のある解決策を求める必要があります。会社としてはこれで十分と考えている可能性がありますから、現状での問題点をきちんと指摘して、その問題を解決できるようなさらなる対応策を強くもとめることです。

解決を求める、という行動自体に大きな意味がある

とはいうものの、会社が積極的に解決しようとするとは考えられないようなケースでも、まずは会社に対して解決を求めるべきでしょう。それは、そうした申し入れによって問題を解決させることが目的ではありますが、解決プロセスの前提としての重要な意義があります。

会社外部の解決制度活用の前提は、社内的な解決ができない状態にあること

社内的な解決ができない場合には、社外の解決制度の活用を図る必要がありますが、その社外の解決制度の俎上に乗せる前提として、社内的な解決ができない状態であるかが重要な要素にもなります。あなたが社外の解決制度を活用するために何らかの窓口に赴き、状況を話すなどの相談を持ち掛けたとしても、もし社内的な解決を図っていない場合には、まずは社内的な解決を図るようアドバイスされることになります。それでもだめなら手助けしますよ、ということなのです。

【参考コラム】社内的な解決に限界を感じたら

社内的な解決を図ったが、会社が解決に消極的であるとか、そもそも解決しようとする意思がない、という事実があれば、会社はきちんと対応していない、労働契約上の義務を履行していない、ということになり、より有利に解決に向かって進むことができることになります。具体的なご相談はこちらからどうぞ(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。

【参考コラム】問題解決につながらない場合の一つの原因~あなたの問題解決行動の正しさを判断する方法

Posted by kappa