過剰に対応することも問題です

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従業員からパワハラを受けてメンタル疾患になったなどとする診断書を提出されれば、少なからず動揺するものですが、まず考えるべきことはそのその従業員の健康管理であり、回復への配慮であることは間違いありません。

一方で、そうした状況の原因となったとされる「パワハラ」ですが、まずはその事実関係の確認です。パワハラ常習犯と認識されている管理職は別として、加害者とされた従業員も、少なからず大きなショックを受けていると思われます。ここで大切なことは、会社の対応です。どちらが悪いとか、どちらが正しいという先入観を持たずに、冷静に事実を見つめる目が求められます。

問題となる言動については、事実関係の一致が認められた場合には、それをもとに業務上の必要性の範囲を逸脱していないかを検討します。業務とは無関係な卑劣な言動を執拗に行っていたなどの事実は論外ですが、必要な叱責程度がいわゆるパワハラとは、通常考えられません。

こうした場合では、加害者とされた従業員に対しては何らかの処分はすべきではなく、顛末書として事実関係の報告をさせ、今後こうした誤解が起こらない様にするためにはどのような対応が適切か、考えることが大切でしょう。

むしろ、その叱責など仕事に対する注意が妥当なものであり、適当なものであったと判断できるような場合には、パワハラ申告者が過剰に反応しているとも考えられます。こうした申告者がメンタル不調であるとして医師の診断を仰ぎ、申告者の思いを汲んだ診断書が提出されることもあります。その診断書に、特定の人物のパワハラによってメンタル面に支障をきたしたなどと書かれていたとしても、それによってパワハラと判断することは失当です。

パワハラではありませんが、裁判例でも高額な慰謝料が認められる傾向があるセクハラに関して、申告者の言いなりに対応した結果、モラルハザードに陥ったというケースがあります。パワハラがあった、診断書が提出された、という場合には、健康面での配慮は必要ですが、その事実関係の確認は、全く別の問題として考えなければなりません。問題の原因が申告者にあることも当然にあり得ることだからです。

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