シフトを減らされるのは無期転換権対策か?

2023年10月6日opinion&topics,シフトに関する問題

ここでは、期間契約の方で、その雇用期間が5年を超えるような方が直面する可能性がある問題として、無期転換権の行使を目前に、自主退職をさせようとする意図がある嫌がらせについて考えてみます。

無期転換制度とは

無期転換制度について、ここで簡単に触れておきますが、有期契約の労働者が、契約時から更新を繰り返して5年を経過した場合、その労働者の無期転換をする旨の意思表示のみで、有期契約が無期契約に替わる、という労働契約法上の法律です。つまり、有期契約の更新を反復継続して5年を経過したら、あなたの一方的な意思表示のみで、会社の同意などは一切必要なく、法律上の効果として、有期契約から無期契約に替わるものなのです。必要なものは、あなたの意思表示のみであること、逆に言えば、あなたが意思表示をしなければ、有期契約のまま、ということになります。

いつから無期契約のなるのか

そのタイミングなのですが、継続雇用期間が5年を超えたときに無期転換権が発生するので、5年を経過する日の翌日、例えば令和元年4月1日に雇用が開始したとすれば令和6年4月1日に無期転換権が発生するので、令和6年4月1日以降であればいつでも、無期契約に転換します、と意思表示をすれば、「次の契約更新から」無期契約に替わります。

ですので、もしあなたがシフトを減らされた理由が全く分からない場合で、しかもあなたの契約が有期契約で、今の契約期間に継続雇用期間が5年を超えるときには、可能性として考えられることは、あなたの今の有期契約を無機契約へ転換することを忌避すす経営者の意図が働いているかも知れない、ということです。

【参考コラム】シフトを外された

無期転換の意思表示後のシフトの減少は、違法な嫌がらせ!?

とくにあなたが既に今の契約期間中に、無機契約への転換の意思表示をされていたとすれば、これはあまりにあからさまな嫌がらせと言っていいでしょう。それは、こうした場合で、次の契約更新時に更新拒否をすることは、無期転換権の行使を阻害するものとの推定をされる可能性が高いため、なんとか自発的にお引き取り願えないだろうかという会社側の意向がシフトを減らすという、いわば仕事外しをさせているとも言えます。

【参考コラム】仕事外し

もしこうしたことが実際にある場合には、これは無期転換をさせないための嫌がらせであることは明白ですから、その旨を指摘をして、シフトを意図的に減らすという嫌がらせを止めるよはっきりとお求めになるほかないのではないでしょうか。無期転換の意思表示に対して、このような対応をするような会社であれば、あなたが今後この会社でのお仕事を継続するためには、こうした姿勢の会社からの嫌がらせを牽制し続ける必要があると考えられるからです。

まだ無期転換の意思表示をしていない場合

今既にあなたが無期転換権を行使できる状態、つまり、継続雇用期間が5年を経過している場合であれば、あなたの無期転換を阻止したい会社側の思惑がある可能性も考えられますが、その際にお考えいただきたいことは、あなたの継続雇用期間が5年をはるかに超えている場合や、同僚などでこの無期転換に関して何らかのトラブルについてのうわさなどを聞いたことが無い、あるいは5年を超えると当たり前のように無期転換している、などという周辺状況がある場合には、今回のシフトの減少は、無期転換の問題とは無関係の可能性が濃厚かもしれません。

いずれにしても予断は禁物でしょう。まずは早急にシフトが減らされた理由説明をお求めになることが先決ではないかと思います。

特にこれまで何ら問題なくフルタイムで勤務してきたのに、最近になっていきなりシフトを減らされた、というような場合、理由を聞いても経営状況が悪いとか、あるいは勤務態度が良くないなど、降ってわいたような理由を告げられ、困惑するようなこともあるようです。このような不自然な理由の説明をせざるを得ないのは、本当の理由が説明できないからで、その真の意図を見極めることも、問題解決には重要でしょう。

もっともシフト勤務は、従業員が希望のシフトを出し、それに対して担当者が調整をして最終的に決定をする比較的柔軟な勤務態様であり、そうした柔軟な勤務のメリットを労使ともに享受しているという側面もあるため、シフトを減らされたことが即問題となるとは言えない事情も問題の解決を困難にしているとも言え、そうした状況を会社が逆に利用しているとも考えられそうです。

上司や店長などによる感情的な嫌がらせであれば、比較的容易に社内的な解決が図れるとしても、会社が意図して人事などがリードするように行われるシフト減らしは、会社と対峙しなければならない局面におかれるため、シビアな対応が想定されます。こうした場合には、会社外部の解決制度の活用を積極的に検討すべきではないでしょうか。

具体的なケースへの対応については、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。

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