採用時に健康状態を伝えなかった場合について

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採用時の面接などでは、健康状態について必ず聞かれると思います。また履歴書にも健康状態を記載する欄が設けられていますから、何らかの意思表示をすることになるでしょう。ところが、その記載欄の空欄のまま提出し、しかも面接時に、健康状態について何の確認もなかった場合で、あなたがあえて健康状態について問題があることを伝えなかったときに、会社からの採用の通知をもらったとしたら、どんな問題が起こり得るのか、考えてみます。

採用後何ら問題なく業務の従事しているのでは、その限りでは全く問題は起こりえないでしょう。しかし伝えなかった健康状態が原因で、業務遂行に影響がでるとすれば、仮にこれが業務がきっかけとなって状況が悪化したとしても、会社の責任を問うことはできないと考えるべきです。

一方、業務には全く問題が無かったとしても、あとから健康状態について、例えば定期的な通院が必要な疾病があり、それを採用時に伝えなかったことが採用後に会社の知るところとなった場合、これが採用直後であれば、内定通知書などに記載された内定取消事由に該当することを前提に、採用が取り消される可能性もあります。

しかし採用後数年以上が経過しているような場合には、数年間何ら問題が無かった、つまり業務への影響はなかったわけですから、今更採用時の健康状態の不申告を理由に解雇するのは無理があります。もしその事実を会社が知らなければ、その後も問題なく業務に従事していると思われるからです。

しかし配置転換などによって業務内容がこれまでと異なり、業務負担が大きくなったり、負担の内容が変わったことによって、その健康状態が業務に影響を及ぼす可能性があるような場合には、人事上一定の制約を受けることなります。会社がそれを知った以上、健康に配慮する義務が会社にあるからです。つまりあなたが希望する業務に従事できなくなる可能性があるということです。

そうした問題が全くなかったとしても、採用時に言うべきことを言わなかった、あるいはウソをいったことは、それが業務遂行には影響がないとはいうものの、会社との信頼関係という面では、問題が無いとは言えないでしょう。少なくとも、「都合の悪いことは隠してしまう」人物であると思われる可能性はあります。

では、最後まで隠し通せればいいのか、というと、本当に全く業務に関連した問題が生じるような可能性の少ない些細なものであればともかく、もし本当に問題が生じたときに、それが業務がきっかけとなって病状が悪化したとしても、会社に責任を問うことは極めて困難でしょう。業務従事が困難ということになれば、一般的には、休職(=解雇の猶予措置)が命じられ、復帰できなければ自動退職=解雇になります。

採用時に健康状態を伝えなかったのは、面接時に聞かれなかったからだとしても、採用されるためにはあえて言わない方がいいのか、悩ましい問題ではあります。ただ、業務遂行に影響があるような場合には、それが採用後であったとしても、きちんと伝えておくべきでしょう。それは会社との信頼関係という問題にもまして、あなたの健康状態に影響する可能性を考える必要があると思うからです。

 

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