上司の指示に不満がある場合の考え方
お送り頂くご相談は、基本的な法的な観点から考える必要があります。もちろん法的な解決、典型的には「訴訟」ですが、仮にそれが可能であったとしても、まずは社内的な話し合いによる解決を図ることが、形式的にも、実質的にも必要なものです。
これは、法的な解決ができるトラブルを、あえて話し合いによる解決を目指す、というものですが、そもそも「法的なトラブルではない」ものもあります。例えば上司が指示する業務の進め方が、部下が適当であると考えるそれと異なる場合に、あえてその部下が自分の考えを上司に述べたとしても、上司が当初の指示を変えなかった、というときに、これは法的な問題となる余地はありません。なぜならば、業務の指示に関しては、上司がその権限と責任という義務を負うからです。誤解を恐れずに言えば、部下の意見を受けれなければならない義務は上司にはない、ということです。
ですから、部下の意見を上司が受け入れなかったことを不当であるとして、法的な解決制度の俎上に乗せたとしても、そもそも業務命令権限は上司にあるのですから、部下の意見に耳を傾ける、無視をしない、という義務は多少なりともあったとしても、部下の意見を上司が採用しなかったことが法的な問題となる、つまり部下の意見を採用しなかったことが、なんらかの違法行為であることが裏付けられなければ、法的解決の余地はないことになります。
ということは、もし上司が、何らかの法に触れるような業務命令を出しているような場合には、そもそもその業務命令は無効ですから、応じる必要は無い、とも言えます。法に触れる業務命令とは、具体的な法律違反を犯すような行為をさせるようなものだけでなく、その部下がとても履行することができないような過重な業務を命ずることや、著しい不利益を部下に与えるような命令も含まれます。よくあるトラブルでは、業務とは関係のないことを命ずるものがあります。
これらの「業務」命令は、業務上の範囲を超えたものとして無効となるものです。が、その判断は微妙な場合が多いものです。即法的なトラブルであるのかが判断できないとしても、話し合いによる解決を図ることはできます。そうした意味でも、話し合いによる解決は、オールマイティなのです。
具体的なケースへの対応については、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。