頂いたご相談メールで、社内的に解決を求められていないという方に対しては、大抵の場合、まず社内的な解決を図ることが先決である旨の返信を差し上げるのですが、それに対して、このようなご不満をメールでお送り頂く方が時々居られます。「社内的な解決なんでできる訳がない。上司は聞く耳を持たないし、人事はどうせ何もしてくれない、トップはワンマンだし、こんな会社で、どこに相談しろっていうの…?」とお怒りになられます。お気持ちは分かりますが、もしこうした状況で、会社外部の解決制度を活用した場合、もちろん社内的な解決行動を起こしていないということで、利用ができなかった、ということもあるかもしれませんが、何らかの方法で会社側に解決を働きかけたときに、果たして会社側はどう対応するでしょうか。
「それは知らなかった」「初めて知った」などと返答した上で、「そうした状況は全く無い」「社内では全く問題になっていないが…」という答えが返ってくることは目に見えています。もちろんこれをきっかけに事態の改善が図られれば結果オーライですが、いきなり法的な解決制度などを活用することは、会社にとっては寝耳に水の状況かも知れませんし、動揺もあるでしょう。なぜ直接話してくれなかったのか、という不信感を持たれてしまう可能性もあります。
確かに、これまでの会社側のトラブル対応の状況を見ていれば、誰が何を言っても、何も解決してこなかった、などの客観的な事実があれば、「突然のことで驚いています」などと返答しつつも、会社側も想定の範囲内として、冷静に対応することでしょう。仮に離職を前提に金銭解決を図るという意向であれば、抜き打ち的な解決行動も戦術の一つになるのかもしれませんが、雇用の継続を前提に考えるのであれば、賢明な対応とは言えないのではないでしょうか。
まずは会社側に解決を働きかけることが、解決行動の第一歩です。必ず何らかの方法があります。どうせ言っても無駄だから、では問題解決を放棄していることと同じです。会社への働きかけは、それによって問題を解決するというため、というよりは、解決行動を起こすこと、それ自体に大きな意味があります。
ご相談メールの中でも、「会社に言っても解決しない」から、解決行動を起こしていない、とお書きになっているものが、結構あります。おそらくご自分の代わりに、何らかの方法で会社側に何か説得力ある申し入れをしてほしい、という期待をされているのではと想像していますが、そのためには二つの方法があります。
一つは、行政の解決制度を使って、行政を経由して会社側に働きかけてもらう方法です。ただし、この場合には、社内的に問題が解決できないことが前提となりますから、何の働きかけもしていない場合には、まずは社内的に解決を図ることを求められる可能性があります。
もう一つの方法は、会社所定の相談窓口がある場合に、この相談窓口を利用して解決のための働きかけをすることができることもあります。ですが、問題は、その相談窓口が、どのような機能を持っているのか、によって対応が大きく異なってくることです。
相談窓口を利用する際には、相談窓口では、何をするのかを確認することが先決ということになります。直接的な解決のための働きかけをする相談窓口もあれば、アドバイスだけ、あるいは、話を聞くだけ、という相談窓口も結構あります。
「この話を人事につなぎますか」などと聞かれた場合には、当然解決の主体である人事に対して話を繋いでもらわなければなりませんが、ここで注意をしなければならないことは、あなたの希望する解決の方向性、意向を、誤解の無いように伝えてもらえることができるかどうかです。
問題解決は長い道のりです。会社に対して、問題解決の話し合いのテーブルに着かせるためには、そんな問題は知らなかった、そんな問題は存在しない、などと逃げられないよう、ひとつづつ外堀を埋めなければなりません。そのためにも、会社側にあえて、改めて解決を求めることには大きな意義があるのです。
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