解決行動で、本当の状況が確認できる

2023年10月6日opinion&topics,解決行動のヒント

「結局、会社は何もしてくれないんです」

「同僚からは、いつも、冷たい目で見られています」

「何もしても、解決しないと思います」

頂くご相談なかには、上司のパワハラに会社は黙認状態、職場の同僚も冷ややかな目で見ているだけ、だから問題の解決はできないと思う、などとお考えの方も散見されます。

このようにお考えの方に対しては、では、実際にそうした問題を解決するために、何をしたのか、をまずお聞きするのですが、意外と多いお答えは、

「解決行動を起こしてもムダ」

「これまでにも、問題が解決せずに、何人も同僚が辞めている」

「解決を求めても、何かするとは思えない」

というものです。つまり、まだ何も解決行動を起こしていない、のです。

解決行動を起こさずに結論を出すことの意味

確かにこれまで職場で起こった状況をみれば、問題は何も解決されてこなかったことが分かるかもしれませんが、ここで大切なことは、なぜ問題は解決されてこなかったのか、という点です。

もしかしたら、これまでだれも解決行動を起こしていなかったのかもしれません。そして、そのような中で、状況が放置され、何人もの同僚が自ら離職していったのかもしれません。この離職という選択肢を選ぶことの是非はともかく、解決行動を全く起こさずに、何らかの結論を出したとすれば、それは大きな誤解に基づいている可能がある、と考える必要があります。つまり、自分の中だけの「推測、憶測」であり「想像」によって、方向性を導き出してしまったのではないかと、ということです。

もちろん、その結論について、あなたご自身が納得をして、すべてを飲み込んでいるのであれば、それも一つの考え方であって、問題の状況に対する自分自身の気持ちの折り合いの付け方です。

ですが、しばらくしてから、その結論について、やっぱり納得ができない、会社の対応は許せない、というお気持ちから、問題の相手に対して、会社に対して、責任追及をしたい、慰謝料請求をしたい、とお考えになるとしたら…その時に必要になるのは、一旦ご自身で気持ちに折り合いをつけた結論を覆す、という作業です。つまり、それが不承不承ではあったとしても、自分で出した結論は間違っていたことを認めなければならない、ということです。

そして、その矛先をかつてのトラブルの相手に向けるためには、そのいったん下した結論は、そのときの状況から、やむを得ずに出したものだった、という前提が必要になります。つまりその時に、解決行動を起こさなかった原因が、トラブルの相手方にある、という理屈が必要になるということです。

これはかなり厄介な話で、この段階では、ケースバイケースではありますが、社内的な話し合いによる解決は、かなり困難ではないかと感じます。

解決行動を起こしていれば、状況は変わるのか

ご自身で結論を出す前に、もし何らかの解決行動を起こしていたとすれば、状況は変わったのか、つまり事態の進展があるのかどうか、これは解決行動を起こしてみなければ分からない、としか言いようがありません。

「それじゃあ、結局同じことじゃないのか」

と考えたくなりますが、結果として、解決行動を起こさずに出した結論と、解決行動を起こして出した結論が、仮に同じであったとしても、状況は全く違うのです。解決行動の起こさずに出した結論は、自分の中にある「推測」に基づくものである一方で、解決行動を起こして出した結論は、解決行動の結果として生じた事実に基づくもの、という大きな違いがあります。

解決行動は、「推測、憶測、想像」を「事実」に変える

解決行動を起こした結果、例えば、上司によるパワハラの解決を求めたが、会社はこれをパワハラとは認めずに、状況が放置され、離職せざるを得なくなった、とすれば、これは問題が解決しない、という事実がその原因になるのです。

問題は解決しない、という状況について、解決行動を起こさない場合には、それが自分の推測であったものが、解決行動を起こした結果であれば、それは推測ではなく、事実に他ならないということになるのです。

事実の積み重ねが、納得のできる結論を導く

推測に基づく結論は間違っている、という訳ではありません。あとから、「あのときやっぱり…」とお考えになるかもしれないのであれば、解決行動を起こした上で、結論を出すべきだと思うのです。

解決行動によって、全く想像していなかった事実が現れることもあります。あるいは、長年自分が思い込んでいた推測、憶測が、「なんだ、そんなことか」という全く見当違いな誤解だった、ということもあるのです。

解決行動は、一回の解決行動で、問題がすっきり解決することはまれで、繰り返し起こさなければならないことがたいていの場合でしょう。その中で、事実を積み上げることで、より正確な、状況を「事実」として把握することが可能になりますから、得られた結論は、納得性の高いものになるのではないでしょうか。

もちろん、解決行動によって、事態の打開を図ることができれば、雇用の継続も可能になります。そして何よりも、ご自身で解決行動を起こし、状況の進展が多少なりとも得られたとすれば、それはあなたにとって、大きな「自信」という財産になると思います。

具体的なケースへの対応については、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。

【参考コラム】問題解決のための行動に一歩踏みだす前にお読みいただきたいコラム~解決行動を起こす前に考えるべきこと