問題解決行動は何から始めればいいのか

2023年10月5日opinion&topics,解決行動のヒント

ハラスメントの問題解決は、問題の核心を探ることで行動方針が決まる

このサイトからご相談をされる場合、「パワハラ相談窓口」のページのメールフォームにご記入いただくことで、相談メールを送ることができるようになっていますが、いざメールフォームに記入をしようとお考えになった方が、おそらく面食らうのではないかと思われるのが、その記入項目の多さでしょう。

ですが、これらの項目にすらすらとご記入いただくことができる方は、すでに何らかの解決行動を具体的に意識されている方に限られるのかもしれません。たいていの方は、苦慮しながら記入項目を埋めていくのではないかと思います。

文字にすることで見えてくる問題の核心、解決の方向性

実は、このプロセスこそが極めて重要と私は考えています。今の段階でのあなたの思いを、とりあえず文字にすることで、問題の状況を客観的に見ることができるからです。あなたにとっては分かり切った事であったとしても、それをあえて文字にするのです。特に問題の解決を切望される方は、少し根気よくお付き合いを頂いて、このメールフォームの各項目を、とりあえずで結構ですから、埋めてみる、という作業に注力をしていただきたいと思います。

この記入作業の途中で、もしかしたらあなたが何かに気が付くことがあるかもしれません。それは問題の解決を図る上で、とても重要な要素である可能性があります。そうした点も、是非お書きいただきたいと思います。

何をどうしていいのか分からない状況から、まずは抜け出すこと

もし、あなたが直面している今の職場の問題の現状を打開するため、どうしていいのか分かない、同僚には聞きづらい雰囲気がある、会社人事などに解決を求めても、更に嫌がらせがエスカレートするかもしれない、最終的には離職を考えなければならないのか、その場合にはせめて当面の生活費程度の金銭補償は得ておきたい、いやその前に慰謝料じゃないだろうか、最も金銭補償と言っても会社が応じるかどうかは分からないし、少なくとも雇用保険を受給する場合の離職理由は、会社都合とはならないだろうか、結局訴訟をしないとだめなのか、でも、とてもそこまでの精神的経済的余裕はないし、つまるところ早く転職先をを見つけて…でもそううまくはいかないだろう…などなど、とりとめもなく思いは迷走します。結局何をまずすればいいのか、今の状況で何かできるのか、考えれば考えるほど、迷いは深くなっていきます。

どうしていいのか分からない状況が不安、悩みの原因

こうした気持ちに、まず客観的な事実関係の把握をすることで、いったんリセットすることも必要でしょう。「パワハラ相談窓口」のメールフォームは、そのための効果的なツールの一つになるでしょう。

ここで問題の客観的な整理ができれば、冷静に対応ができる心の準備が、多少なりとも整うのではないかと思います。ですが、ここに記入をすることによって解決の糸口を、自ら発見できる方は、限られてくるかもしれませんが、ほとんどの方は、解決の糸口が見つかるところまでには届かないとしても、メールフォームに記入することによって、事実関係は、かなり整理ができたとお感じになると思います。

ここまでお書き頂ければ、相談の準備が整ったことになります。ですので、せっかくお書きになったメールフォームは、是非送信をしてください。メールフォームに記入された内容を、会社外部の第三者である私が見ることによって、あなたが全く気が付かないような、あるいは改めて指摘をされて、思わず思い起こすことができること、そのようなアドバイスを返信メールで差し上げることができるかと思います。

解決の方向性が見えてくれば、行動方針が決まる

メールでお書きする解決アドバイスは、メールフォームにお書きになった内容から、推測も含めた状況を前提にした、一つの解決の方向性であり、解決行動の選択肢の一つにすぎません。

そのアドバイスで方向性をはっきりとご自身で認識される方もあろうかと思いますが、一方で、一抹の不安や、十分な理解と納得感に乏しい方も多いかと思います。それはメールの限界であり、それ以上の役割をメールに負わせることは、逆にミスリードのおそれがあります。

より具体的な解決の方向性を見極めるためには、やはり直接お話をお聞きするほかありません。お話をお聞きする中で、解決の方向性が全く変わってくることもありますし、あるいは方向性が変わらないとしても、直接お話をお聞きすることで、より納得性の高い理解のもとで、解決行動に自信と実効性を備えることができると思います。

相談対応で目指すものは、解決の方向性を見極め、具体的な解決行動の選択肢をお示しすること

問題には、人の気持ちが大きくかかわっています。特に雇用の継続を前提に、社内的な問題の解決を図ろうとする場合、理屈ではなく、誰の、どのような意向が、どのような形で反映されているのか、を周辺事実関係から推測することが不可欠で、その結果問題の状況が一本の糸でつながっていきます。つまりそのつながりを、どこかで断ち切ることができれば、問題の原因となっている要素のいくつかを取り除くことができます。では、そのつながりをどう断ち切るのか、それによってどのような影響があるのか、などを考えながら、具体的な解決行動を模索します。

いかなる場合でも、法的根拠を楯に切り込むことで問題が解決するわけでは全くありません。法的解釈が問題を解決するのではなく、その法的解釈を、問題解決にどう活用するのか、という視点が重要になってきます。例えば、ハラスメントについて言えば、違法性に関しては議論の余地はありません。ですが、なぜ解決できないのか、という問題は、法的解釈が問題の解決をするのではない、という典型例でしょう。

では、どうすればいいのか。つまり、どのような解決の方向性で、どのような解決行動をすべきなのか、ということですが、その答えは、問題の核心がどこにあるのか、を見極めることで、初めて見えてくるものです。

直接ご相談を頂く場合、このような問題の核心を見極めることが、最重点項目になってきます。そのためには、様々な方向から、職場の状況などについて、じっくりとお話をお聞きすることが不可欠です。相談メールを送信された後は、返信メールのアドバイスをご覧頂くとともに、直接お話をお聞かせいただければと思っています(「実効性の高い解決提案をご希望の方へ」のページへのリンク)。