ハラスメントに対する意識の希薄な会社の外堀は確実に埋められつつある

ハラスメントを含めた労務管理に日々心を砕いているような会社であれば、6月施行のハラスメント規制法にも人事関係のご担当の方は注視をされていることと思いますが、残念ながら、本当にハラスメントに対する抜本的な対応が必要な組織では、このハラスメント規制法などどこ吹く風、もともとハラスメントに対する認識が希薄ですから、関心も薄いのです。「ハラスメント規制法!?何それ?だから何?」という程度ではないでしょうか。

このサイトから相談メールを送られる相談者の皆さんは、残念ながら、という言葉が適当かどうかか分かりませんが、上記後者の、ハラスメントに関心が無い組織にお勤めの方が大半のようです。しかも、会社の規模には全く関係がないと感じます。

ということは、ハラスメント規制法施行から間もなく二月ですが、何の影響もなかったのか、というと、これは私見ですが、上記後者のハラスメントに対する意識の希薄な会社に対する外堀は、確実に埋められつつあると感じています。ただし、当然ですが、ハラスメントの解決を図ろうとする従業員の方が、このハラスメント規制法を活用して問題解決を求めた場合、という条件付きではあります。

ハラスメント規制法は、使用者に対して、ハラスメントに対する防止及び改善措置を義務付けるものです。ですので、ハラスメント行為そのものに対する責任ではなく、相談対応を怠った、状況を放置黙認した、という対応が違法になるというものなのです。この法律の特徴をうまく生かせば、ハラスメント問題の解決に、極めて有効に活用できる余地が大いにあります。

特に社内的な解決に極めて有効な行政による解決制度、具体的にには労働局の助言指導ですが、これを活用する場合には、この法律の特徴を生かした事実関係の説明になっているかどうかは、極めて重要です。

一方、これまでトラブル対応に慣れている会社では、「あぁ、助言指導ね、はいはい…」という感覚で、適当に受け答えをしていればそれで済む程度の認識しかなかったのではないかと思われますが、ハラスメント規制法という法律規定ができた今、ハラスメントに対する無関心は違法という判断ができることになります。

もっとも、中小企業に対しては、経過措置のため再来年の3月までは努力義務ですが、努力義務だからと言って無視をすることが全く問題とならない訳がありません。

この助言指導という制度の活用については、私は間接的にしか関わっていませんが、担当官の方々は、もちろん温度差はあるとしても、このハラスメント規制法に対して、とても積極的に関わっているという印象を受けています。当初は、ハラスメント呼ばわり洒落臭ぇ、的な対応だった使用者が、一変して借りてきた猫になってしまったような状況もあるようですので、これは担当官の方の尽力によるものと思いますが、ここで大きな効果を発揮しているのは、間違いなくハラスメント規制法の存在があると思います。

ハラスメントに対して、会社の無理解で耐えるほかないような状況に陥ってしまっている方でも、勇気をもって行動に移すことで、状況を一変させることができる機会があるのではないでしょうか。ハラスメント規制法が、勝手に会社を改善してくれるわけではありません。問題を解決するのは、解決しようとする意思であり、行動です。そこで初めて、ハラスメント規制法の恩恵を受けることができるのですから。

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