本当にコロナ対応が原因か?
飲食店をはじめとした業務の自粛が広がることが、当然に労働時間の縮小、労働日数の減少につながってしまうことは避けられません。こうした会社都合の休業が、休業手当の対象となる休業なのか、会社に休業手当を請求できるのか、といった問題については、ネット上に情報が蔓延しているようでもあり、ここでの詳述は避けますが、重要な判断基準となるのは、まずは行政が発信する情報です。ですが、ここで答えが得られるものと、得られないものがあります。労働環境は千差万別であり、周辺状況によって判断は大きく変わってくるものですから、簡単に答えが出てくる方が、むしろ稀だろう、という気持ちが働けば、状況を短絡的に判断することもなく、大きな誤解を生じることもなさそうです。こうした視点が重要かと思います。
さて、ここで触れておきたいのは、「コロナのためにシフトが減らされた」「コロナが原因で契約が更新されなかった」「コロナが理由で賃金が減額された」というご相談に対してです。このサイトからご相談になる方は、おそらく「コロナが原因…」と言われてはいるものの、釈然としないものをお感じになったからこそ、相談メールを送られたのではないかと思います。
では、何が釈然としなかったのか。みさなんは、もちろん納得はできないまでも本当に「コロナが原因」であれば、致し方ないとお考えになっていると思います。問題は、「本当に」コロナが原因なのか、という点です。
ご相談メールを拝見すると、おおよそ次のような状況が見えてきます。つまり、表向きは「コロナが原因」と説明している一方で、自分以外のスタッフは、いつも通りのシフトに入っている、何で自分だけがシフトを減らされているのか、というものです。
本当にコロナ対応で営業時間が減ってしまい、スタッフみんなの勤務時間の調整が必要になる場面では、おそらくは事前に勤務時間についての話し合いなり説明があるはずでしょう。ですが、問題となるケースでは、判を押したように事前の説明がなく、一方的にシフトが減らされた後で、「コロナが原因」と告げられているだけです。たしかに「コロナが原因」と言われれば、今の状況からは当然にそうしたことも避けられない、仕方がないと思う一方で、職場の状況を見てみれば、シフトが減らされたのは自分一人だった、これが典型です。
ここまでの状況を客観的に見つめることができれば、これはコロナが原因でシフトが減らされたのではないことに気が付くはずです。本当にコロナが原因で、職場全体で対応を考えながら、スタッフ全員で状況を共有するなかで、シフトが減らされてしまうことは、多かれ少なかれ、受け入れなければならないか、などとも思えるかもしれません。もちろんそれ自体厳しい状況ではあるのですが、これは経営判断と制度の利用に工夫を重ねながら対応するほかありません。ですが、ここで指摘しているのは、問題はそこにある訳ではないという点が重要なところです。
「コロナが原因」と言われて、不明確な説明と公平感の無い処遇を受けた場合には、それは原因がコロナにあるのではなく、本質は感情的な嫌がらせに他ならないという点に気が付く必要があると思います。
具体的なケースへの対応については、ご相談メールをお送り下さい(「パワハラ相談窓口」のページへのリンク)。