「報復が怖い」と思ったときに考えるべきことの一つ

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「上司からの報復が怖いので、誰にも相談できない」
「相談をしたら、きっと上司に筒抜けになるので、また何をされるのかと思うと、恐ろしくて…」

社内的な相談を躊躇する最も大きな理由の一つは、相談内容が加害者本人に伝わることで、さらなる嫌がらせを受ける、いわゆる「報復」を恐れる気持ちです。相談内容が漏れてしまう、本人に知られてしまうことについては、別の機会に触れるとして、ここでは「報復」について考えてみたいと思います。

問題解決を求める相談を躊躇させる加害者からの報復があることを考えると、同僚にすら相談ができない、誰にも相談ができない、ただただ上司からの嫌がらせを我慢することしかできない、などと考えてしまっているあなたの気持ちは、上司が怖い、という漠然とした恐れが、あなたの気持ちを覆いかぶせてしまっているからではないでしょうか。

まず報復が怖いと感じたときに考えて欲しいことは、あなたが怖いと感じるものは何か、具体的にイメージする、ということです。上司のどのような言動が怖いのでしょうか、怒鳴られることでしょうか、汚い言葉で罵られることでしょうか、物を投げられることでしょうか、暴力を振るわれることでしょうか…

怒鳴られるとしたら、どのように怒鳴られるでしょうか。「貴様、俺が怒鳴ったことをパワハラだなんてチクりやがって、ただで済むと思うなよ」「この程度のことをパワハラだなんてグズグズいうのは、お前の根性がなってないからだ」「人事に話して、給料をもっと下げてやる」…

このような具体的なイメージが実際に想像できた場合ですが、本当にそのような言動があったとすれば、これは上司本人に相当な問題があることは確かかと思いますし、もしこうした状況を会社として黙認しているとすれば、会社自体にも問題があると言わなければなりません。このような暴言や、ましては暴力にまで発展しているのであれば、人事などに対して、すぐに助けを求めなければならない状況であり、根本的に問題解決を考えなければならないでしょう。ですが、このような異常な状況は極めてまれなのではないでしょうか。あなたのケースはどうでしょうか。

おそらくあなたが具体的に想像する報復は、機嫌が悪くなる、無視をされる、あなたが上司に近づくと不愉快そうな顔をされる、業務上の質問をしても、不愛想な対応しか返ってこない…かもしれない、いや、きっとそうされる、ということは考えられるかもしれません。そして、そうした上司の気持ちを忖度する同僚たちからも冷たい対応をされる、やがて職場で孤立する、実際に今、孤立している、と感じているかもしれません。

つまり、今の状況に問題を感じて、その解決を求めて相談しても、問題が解決しないだけでなく、状況がさらに悪化するだけではないか、そう考えたことが「報復」の内容でしょう。これをパワハラとして指摘するかどうかは別としても、この状況を何とかしたいと考えたあなたの気持ちは、この状況が改善されなければ、職場に居ること自体がいたたまれない、気持ちが持たない、職場に行くのが苦痛、というあなたにとっては、抜き差しならない状況であることは確かです。

ですが、職場の同僚や上司はもちろん、そのようなあなたの苦しい気持ちなどは全く理解していません。つまり、上司は自分自身の言動によって、あなたがどれほど苦しんでいるのか、などということには、全く気付いていないだけでなく、考えも及んでいない、ということではないかと思います。上司は、ただ自分の気持ちを素直に表に出しているだけ、同僚らは、そうした上司の気持ちを汲んで平静を装い、逆に、上司を不機嫌にさせるようなあなたの解決行動を疎ましく感じるかもしれません。上司や同僚がそう思うのは、あなたの気持ちが全く理解できていないからです。

もしそのような状況であるとすれば、あなたが取るべき解決行動は、あなたの気持ちを理解してもらうことが、さしあたってのゴールになるはずです。では、その具体的な解決行動は、どのようなものになるのか、それは上司の言動の問題を指摘するのではなく、あなたの気持ちがとても辛いことを話すこと、ということになるのではないでしょうか。

そのようなあなたの気持ちを知った上司は、表向きの対応に大きな変化が仮になかったとしても、少なくとも、自身の言動についても、改めて振り返ってみているはずです。ですが、もし、それに対して、その上司が「えっ、コミュ障…」などと漏らすようであれば、人事はこの上司に躊躇することなく管理職失格の烙印を押すことでしょう。

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